Q 不貞・不倫を行った有責配偶者からの離婚請求は認められるか?
認められる場合がありますが、別居期間10年が目安になるなど、条件は厳しいです。
かつて、離婚原因(例:不貞行為)を自ら作出した有責配偶者からの離婚請求は認められませんでした。
ところが、最高裁は昭和62年の大法廷判決により、
厳しい要件のもとで、有責配偶者からの離婚請求を一般論として認めました。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122600192166.pdf
夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできない
その後の最高裁判例も考慮すると、要件は下記の3つと言えます。
① 別居期間
・・・10年程度必要と見られるが、他の事情も考慮して総合判断される
② 未成熟子のいないこと
・・・ 絶対要件ではない(末子が高校生の事案で離婚の余地を認めた)
③ 相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等、離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められないこと
【その後の最高裁判例】
・最判昭和62年11月24日 別居約30年で、離婚を認める
・最判昭和63年4月7日 別居16年で、離婚を認める余地があるとして、差し戻し
・最判昭和63年12月8日 別居10年3ヶ月で、離婚を認める
・最判平成1年3月8日 別居8年で、離婚を認めなかった
・最判平成1年9月7日 別居15年6ヶ月で、離婚を認める余地があるとして、差し戻し
・最判平成2年11月8日 別居8年で、他の事情(誠意)を考慮した上で、離婚を認める
・最判平成6年2月8日 別居13年11ヶ月。末子が高校2年生だったが、離婚を認める