離婚前・別居中の子供の引渡し
親権,監護権についての規定は別のページで説明しています
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問題は,夫婦が別居中している際の子の監護に関する事項です。多くの場合,特に子供が幼い場合には,母親が子供を監護し,父親が面会交流を行う,という形で修まっています。しかし,稀に子供の奪い合いとなる場合があります。全体の比率としてはごく少数ですが,離婚を前提とする別居が増大している今日,絶対数としては決して少なくありません。
では,相手方の元にある子供の引渡しを受けるためには,どのような方法があるでしょうか?子供の利益を第一に考えれば,客観的に見て適切な監護権者であると思われる親が監護すべきであり,夫婦が同意して円満な引渡しを行う(あるいは行わない)ことが最善です。
しかし,同意が得られない場合,法的手続きとしては,下記の手続きがあります。①がメインとなります。③は,相手方にも親権があるため,特別の事情でもない限り困難でしょう。
①子の監護に関する審判申立て (+審判前の保全処分申立て) (+強制執行)
②調停前の仮の措置
③人身保護請求
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①の子の監護に関する審判(+保全処分)申立ては,下記の3つを同時に申し立てるのが通常です。
(1)子供の監護権者指定の審判申立て
(2)子の引渡し審判申立て
(3)審判前の保全処分申立て
離婚調停,婚姻費用分担調停を申立て済の場合には,同一事案について,5つの申立事件が並行して進行することになります。
(1)は(2)の前提として,監護権者を自らに指定することを求める審判です。
(3)は(1)(2)の最終結論が出る前に,保全処分として引渡しを求める申立てです。
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離婚調停申立て済の場合には,前記②の調停前の仮の措置を命じてもらう方法があります。離婚調停の中で,これを求めることになります。強制力はありませんが,事実上の効果が期待できる場合があります。
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