破産管財事件と個人再生等の動向 平成23年
前回の記事で,破産件数の動向を紹介しました。
http://www.shigetsugu-law.com/wp/archives/268
今回は,管財事件と個人再生の動向について紹介します。
管財事件は,法人の破産事件や個人でも事業主事案や不動産処理等が残る案件について,裁判所が破産管財人(通常は弁護士)を選任して処理にあたらせる事件であり,同時廃止事件と比較すると,複雑で処理難度の高い案件です。
(西暦) 管財事件数 管財事件比率
2002年 23,115件 10.5%
2004年 24,082件 11.0%
2006年 29,385件 17.0%
2007年 32,630件 20.9%
2008年 37,634件 27.0%
2009年 39,845件 29.5%
2010年 37,810件 29.2%
2011年 35,785件 32.5%
管財事件のピークは個人以外の破産件数と同じく,2009年(平成21年)がピークであり,平成23年はピーク比▲10.2%でした。
NBLの記事では,管財比率が上昇を続けている点を強調しているように感じましたが,絶対数では減少が続いています。もっとも,破産事件全体の減少から比べると,穏やかな減少であると評価できるでしょう。
管財人報酬の総額については,管財人が弁護士会に納める負担金の額から判断すると,少なくとも大阪では,大幅な減少が続いていることが推察されます。
一方,個人再生事件は,個人の破産と同様,大きく減少していますが,ピークは個人破産のピークである平成15年よりも遅く,平成19年がピークです。平成19年以降の減少については,過払い請求に関する平成19年判決(消滅時効・法定利息)の影響があったかもしれません。
(西暦) (個人再生件数)
2002年 13,498件
2004年 26,346件
2006年 26,113件
2007年 27,672件
2008年 24,052件
2009年 20,731件
2010年 19,113件
2011年 14,261件
平成23年(2011年)はピークの平成19年(2007年)対比で▲48.5%と大幅に減少しています。
会社の再生・更生案件も大幅に減少していますが,来年の金融円滑化法の期限到来後の推移が注目されます。
(ご参考)
大阪地裁管轄内での平成23年の倒産新受件数
破産 11,669件
うち,個人 10,627件
うち,法人等 1,042件
個人再生 1,532件