支払督促(簡易迅速な債権回収手続き)
支払督促の制度は、金銭その他の代替物や有価証券の一定量の給付を求める請求において、書面審査の結果、債権者の申立てに理由があると認められる場合、裁判所書記官が債務者に給付を命じる督促を発する処分を行う制度です。
債務者が2週間以内に異議申立てをしなければ、債権者は仮執行宣言の申立てにより、強制執行ができるようになります(仮執行宣言支払督促=債務名義)。
仮執行宣言付支払督促正本送達後、2週間以内に異議申立てがなければ、確定判決と同一の効力になります。
支払督促は、迅速、簡単、安価に債権回収を行いうる制度として注目されています。他方、制限やデメリットについても理解する必要があります。
(支払督促のメリット)
1 金額が無制限で簡易な手続き
書面審査のみの判断で支払督促が送付されますので、裁判所への出頭は必要ありません。また、少額訴訟では60万円までという金額の制限がありますが、支払督促では金額の制限がありません。
2 迅速性
債務者が異議を申立てなければ、最短1ヶ月程度で強制執行が可能な状態になります。
3 安価性
支払督促の申立手数料は、通常の訴訟費用の半額になります。
(支払督促の注意点・デメリット)
1 金銭の支払い、有価証券や代替物の引渡しを求める請求に限定されます。
2 相手方(債務者)の住所地を管轄する簡易裁判所書記官への申立てが原則です。
3 相手方(債務者)が異議を申し立てた場合、通常訴訟に移行します。この場合にも、相手方の住所地での裁判となります。
4 相手方(債務者)が所在不明だと利用できません。
明確な書証(書面による証拠)がない場合や、相手方が争っている場合には、向かない手続きといえるでしょう。また、60万円以下の場合には、少額訴訟についても検討すると良いでしょう。