高齢者の死亡事故,2281万円→5211万円と大幅増額した事例
被害者 | 70歳代女性(大阪府在住) |
傷病等 | 肋骨・骨盤多発複雑骨折,胸部内臓破裂,外傷性ショック死 |
後遺障害等級 | – |
基本過失割合 | 0%(加害者が信号無視) |
手続き種類 | 示談交渉,自賠責保険の被害者請求,訴訟上の和解 |
交通事故の概要
高齢女性の歩行者が,信号機が青色に変わってから国道を横断し始めたところ,信号無視で突っ込んできた加害者の四輪車に激突され,外傷性ショックにより死亡した事件です。他の四輪車は赤信号で停止していたのに,加害車両はブレーキも踏まず,停止車両の横を突進して高齢歩行者を即死させており,加害者の注意義務違反が大きい事例でした(※)。
家族にとっては,最愛の妻であり母であった被害者を突然失った悲しみは大きく,直後に夫は胃潰瘍で入院・手術し,娘はフラッシュバクが厳しく転職して減収となり,一族で経営する店舗も大幅減収となりました。大混乱の中,長男がなんとか踏ん張り,家業を維持した事例です。
保険会社の示談提示額は,自賠責保険でカバーされる金額に,わずか70万円を上乗せしただけの金額(2281万円)であり,余りにも低い金額でした。また,提示があったのは,刑事裁判が確定した後であり,事故から約1年後でした。余りにも遅く,余りにも少ない示談提示でした。
(※)刑事判決でも,事情によっては実刑も考えられる事案である旨,述べられた事案でした。
解決への経緯
1 遺族は大阪の複数の法律事務所に電話相談した上で,当事務所(担当:重次弁護士)に委任することになりました。
2 当事務所では,保険会社の提示額は余りにも少額であり,絶対に示談に応じないようアドバイスした上で,委任を受けて保険会社と交渉したところ,示談提示額は2281万円→4100万円となりましたが,なお,少ない金額でした。
3 そこで,当事務所で自賠責保険の被害者請求を行い,2211万円を取得(うち416万円は遅延損害金に充当)した上で民事訴訟を提起し,追加の支払い3000万円で訴訟上の和解となり,合計5211万円を取得することになりました。当初の示談提示額から約3000万円の増加でした。また,弁護士費用を差し引いた手取り金額でも当初示談提示額2281万円の2倍以上となりました。
弁護士からのコメント
交通事故は弁護士に委任することで取得額が増額する場合が多いのですが,本件は死亡事故において約3000万円の増額となり,手取り金額も2倍以上となりました。弁護士に委任することで増額となった典型的な事例です。
訴訟においては,生前の故人や家族の写真,遺族の陳述書などを活用することで,遺族の悲しみ・精神的損害を裁判官が実感できるよう努めました。
結果として,2倍以上,3000万円近い増額となりました。
保険会社から示談提示を受けた場合には,直ぐに示談に応じず,必ず弁護士に金額の妥当性を見てもらうことが非常に重要です。