交通事故紛争処理センターの裁決で満額近い金額を取得した事例
(総取得額は1241万円:後述)
申立時の請求額 | 460万4265円(100%) |
申立時の本人和解ターゲット | 300万0000円(65.2%) |
あっせん額 | 150万0000円(32.6%) |
あっせん後の本人和解ターゲット | 260万0000円(58.5%) |
裁決額 | 458万1850円(99.5%) |
交通事故紛争処理センターで最終解決しましたが,既に人身傷害保険の先行請求で約440万円,任意保険会社から約79万円,自賠責の被害者請求で約265万円(総計約783万円)取得していた事例です(総取得額1241万円)。
本人のターゲットは+300万円でしたが,当事務所の弁護士の判断で,460万円余を請求しました。
交通事故紛争処理センターのあっせん委員の弁護士は,150万円のあっせん案を提示しました。後遺障害の当初認定が14級で,当事務所の異議申立で初めて12級になったことも理由に,12級の労働能力喪失期間を10年しか認めませんでした。保険会社の顧問医の意見書の影響も考えられました。
これに対して,当事務所の弁護士は,労働能力喪失期間の関する赤い本の裁判官の論稿を提出し,また,医学書・医学的知見に基づき保険会社の顧問医の意見書の主張が前提を誤っていたり,論理性に欠けていたり,医学的知見に反するなど,杜撰な内容であること,などを主張して,裁決を求めました。
交通事故紛争処理センター(大阪支部)の裁決で,保険会社の顧問医の主張はほぼ排斥され,当事務所の弁護士の主張がほぼ認められて,申立時の請求金額に対して,99.5%に該当する458万円余が認められました。
当初の本人の和解ターゲットである300万円を大きく上回りました。
また,総取得額は1241万円となりました。過失割合20%が認定されましたが,人身傷害保険を先行請求して過失割合部分を埋めたため,損害額の満額を取得できました。内訳は以下の通りです(1万円未満は四捨五入)。
人身傷害保険 | 440万円 |
任意会社の既払い | 79万円 |
自賠責の被害者請求 | 265万円 |
紛争処理センターの裁決 | 458万円 |
(合計) | 1241万円 |
(弁護士のコメント)
交通事故紛争処理センターにおいて,あっせん案に納得できない場合に,裁決を求めるか否か,迷う場合も多いのが実情です。多くのケースでは,あっせん案・再あっせん案でまとまります。
本件では,あっせん委員の任期が到来して,再あっせんが難しいため,裁決の申し込みを行いました。あっせん委員のその後のフォローが適切だったためか,弁護士の目から見て正当な賠償と思われる,満足な結果が得られました。
また,人身傷害保険を先行請求しており,認定された過失割合部分(20%)を埋めることが出来ました。人傷保険会社は,20%分を超える金額(440万円)を被害者に先行して支払っており,20%相当額(248万円)を超えた金額(191万円)は,人傷保険会社が相手方の任意保険会社に求償権を行使して,受領することになりました。
交通事故に関する各種保険の使用や順位の選択,異議申立による後遺障害の等級認定のアップ,交通事故紛争処理センターでの医師の意見書への反論等の主張による満額近い回答を得て,総額1241万円の賠償(治療費79万円を含む)を得られた成功事例です。
なお,本人は弁護士保険に入っていたため,弁護士費用・報酬の本人負担額は0円でした。