【TFCC損傷12級】交通事故紛センで請求額の満額を取得した事例
示談提示額~解決額の推移
1 本人への当初示談提示額 468万1656円
2 弁護士介入後の弁護士からの示談提示額 1000万円弱
・・・★本人の早期解決意向により一部譲歩して提示★
3 弁護士介入後の提示額 778万6199円(本人への提示の1.66倍)
4 交通事故紛争処理センターへの申立額 1064万1233円
5 解決額 1064万1233円(本人への提示の約2.3倍,+596万円)★本人意向により,譲歩せず★
解説:争点,経緯など
本件は,弁護士が介入した時点で,保険会社は1064万1233円の支払いを覚悟すべき事案でした。
TFCC損傷による後遺障害の等級認定では,非該当,14級9号(局部に神経症状を残すもの),12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの),12級6号(1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの)の4つが大半を占める考えられます。
本件では,手関節の関節可動域制限(患側が健側の4分の3以下)により,12級6号が認定されており,かつ,強度の神経症状が残っていました(可動域制限がなくても12級13号が取れていたと推察される)。
後者(12級13号)を前者(12級6号)に含めて12級6号と認定されており,かつ,可動域制限は10級に近い内容でした。
以上から,保険会社は,他覚所見のないむち打ち(非該当or14級9号)基準により入通院慰謝料を基準の3分の2で主張し,労働能力喪失期間をむち打ち12級13号の10年で主張しましたが,認められる余地の乏しい事案でした。
当事務所の弁護士は,1000万円弱までの譲歩なら早期和解の方が良い,との本人意向により一部譲歩して示談提示をしましたが,保険会社(三井住友)は大幅減額を主張しました。
結局,交通事故紛争処理センターの大阪支部に1064万1233円の請求額で申立てを行い,あっせん案は申立額満額で提示され,保険会社も受諾した経緯です。
なお,保険会社が受諾した理由は不明ですが,当事務所の弁護士は以下の要因を考えています。
・10級に近い12級だった
・近時,保険会社は弁護士介入後でも基準額元金(除く弁護士報酬)でも拒否する傾向が強いが,三井住友海上火災は東京海上日動ほど強く拒否して長引かせる傾向はないこと
・他事件で当事務所の弁護士が三井住友海上に強硬な対応(そんぽADRの活用,監督官庁への行政指導を求める意見書の提出)を行っており,保険会社がこれ以上の紛争拡大リスクを避けた