【面会交流の実現事例】
1年以上会えなかった子供と調停中に数回面会,過大な財産要求も1200万円以上減額して,調停離婚が成立した事例
依頼された事件の概要
離婚手続き | 調停離婚(第2回期日直前に受任,先方(妻)から申立て) |
面会交流 | 別居後,1年以上会えておらず,夫は面会交流を強く希望 |
依頼者 | 40代男性,大阪市在住 |
相手方 | 30代後半女性,大阪府在住(別居7か月後に離婚調停を申立) |
居住 | 3年以上の家庭内別居(スペース区分)後,夫が家を出て別居 |
子供 | 1名(小学生,妻と同居) |
事案内容
家庭内別居状態が長く続き(3年以上),別居前から子供との交流を妨害されるなどの嫌がらせを受けた夫は,堪らなくなって家(持家)を出た。妻は持家の名義変更を含め,過大な財産的要求(財産分与・婚姻費用・養育費・慰謝料)を行った。妻が申立てた調停の第2回期日の直前に依頼があった。夫は妻への慰謝料請求を考えていた。
解決内容
面会交流 | 受任2か月で実施(1年以上ぶりの面会),夏休みを含めて数回実施 |
離婚 | 受任7か月で調停離婚成立 |
財産関係 | 妻の過大な財産要求対比1200万円以上減額,持家は妻に名義変更,相互に慰謝料はなし |
弁護士のコメント
当事務所では,特に夫が依頼者となる離婚事案については,仕事や人生への影響を考え,早期解決を勧めています。
しかし,親権に争いがある事案や,子供と会えていない事案については,子供との関係調整を最優先して,やや長期化しても,子供との面会交流の実施・定着化に努めています。
本事案では,子供との面会交流のため,弁護士の受任から離婚まで7か月程度の時間をかけ,1年ぶりの再会,夏休みの面会交流など,数回の面会交流を重ねて定着を図り,調停離婚の成立となりました。
財産面や,調停中のやり取りの中で,相手方(妻)側の財産・金銭面での主張が,度を超えている,不正である(詐欺的な請求が含まれている),二重請求だ,極端だ,などと思われることが何度もありました。やや精神的に病んでいた印象がありました。
妻側の過大な要求から1200万円以上の大幅減額で調停合意が成立しましたが,他方,子供の養育費については長めの期間の支払いを約束する,持家の名義変更と継続居住を認めるなど,子供への配慮,早期解決への譲歩も行いました。
なお,依頼者である夫は,慰謝料請求や親権も,本当は望んでいました。
このうち,親権については,別居している父親が取得することが困難であることは最初から理解していました。
慰謝料については,相当の体力を掛けて主張立証しても,裁判所は全く認めないか,認めて数十万程度であり(不貞の離婚訴訟でも平均300万円程度,中央値200万円程度),立証は困難な上,関係が相当に悪化して紛糾するため,慰謝料の請求は控え(先方の請求にも断固応じない),面会交流の実現と早期解決を優先して対応するよう,勧めました。
一度は愛し合い,子供まで作った2人が,激しく長期間争うことは大変消耗することです。早期解決には賢明な譲歩が不可欠ですが,他方,不当な要求は排すべきです。面会交流などの健全な対応は進め,妥当な条件により比較的早期に解決するよう,努めています。