裁判所,交通事故紛争処理センターの期日取り消し等について
改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言
周知のとおり,昨日,緊急事態宣言の発令が発表され,大阪府も対象地域となりました。8日(本日)午前0時より発行しています。
裁判所の対応(大阪)
指定期日の取り消し
1)大阪弁護士会からのFAX連絡によれば,裁判所は以下の取り扱いを行う基本方針である。
ア 民事・家事事件の継続案件について,既になされた期日の指定は一括して取り消す。但し,保全やDV,人身保護,執行,倒産といった緊急性の高い案件については,事件ごとに判断する。
イ 刑事,少年事件に関しては事件ごとに期日の実施につき個別に判断する。
ウ 大阪府下の高裁,地裁,家裁,各支部,簡裁はいずれも同一対応となる。
エ 今後,大阪府から外出自粛要請がなされた場合に,改めて上記方針につき判断する。
オ 具体的な期日の取扱いは、事件ごとに裁判所から連絡がなされる。
2)大阪地方裁判所
ア 既に昨日,交通事故の専門部である大阪地方裁判所第15民事部より,1件,4月10日の期日取り消しの連絡がありました(追って再指定の予定)。
イ 本日,直近の他の弁論(準備)期日を確認したところ,期日指定の取り消しとなり,再指定は未定とのことでした。
ウ 直近の判決期日を確認したところ,取り消しと言われたため,(長めの間隔で期日が設けられた経緯等もあり)判決期日まで延期するのは,やり過ぎではないか,(4月1日で転任された)裁判官が判決を書いて期日のみ法廷の関係で4月に回された経緯だ,当事者の法的地位を不安定にする,「裁判の迅速化に関する法律」との関係でも問題ではないか,と伝えました。追って連絡されることになりました。→結局,変更されず,期日取り消し・再指定(=延期)とされました。
3)大阪家庭裁判所
現時点では,4月8日~5月1日の調停期日について,一括取り消しの扱いであり,それ以降の調停期日については,現時点では取り消し連絡の指示は受けていない,とのことでした。
調停については,特に,狭い部屋で4人以上がやり取りすること,待合室が狭くて混んでいること,等から,延期は,通常の裁判期日以上に,妥当な判断だと思われます。
4)大阪高等裁判所
現時点では,決定期日についても,4月分は期日取り消しの連絡を入れているが,5月中旬の決定期日は,取り消し連絡の指示はなく未定,とのことでした。
交通事故紛争処理センター
大阪支部では,代表電話も留守電になっており,緊急事態宣言の対象期間においては業務を停止する,個別の期日の取り消しは,直接連絡している,とのお話でした(個別に連絡が取れて電話確認済)。
コメント
判決言渡し期日まで延期予定,というのは,オーバーキルの弊害が出ているように感じました。他方,裁判所にとっても初の事態であり,感染者増による医療崩壊を避ける強い要請もあります。
家裁の調停室や待合室については,対象地域「以外」でも,感染予防の対策は必要でしょうし,逆に,対象地域でも,判決言渡し期日まで延期するのは,行き過ぎの印象があり,迅速な裁判を受ける権利や,裁判の迅速化に関する法律との関係でも,問題だと思います。
法曹の一翼を担う者として,過剰な延期が行われないよう,依頼者の権利を守り,裁判所にも働き掛けを続けていきたいと思います。
他方,やむを得ない延期の必要性や裁判所の方針・事情等について,依頼者に説明を重ねていきたいと思います。
宜しくお願い申し上げます。