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労災の後遺障害,審査請求で12級→5級と7等級アップに成功

労災 審査請求の成功事例:12級→5級と後遺障害が7等級アップ(デグロービング損傷等)

昨年(平成29年)春に受任した労災事件(症状固定は28年秋,当初の等級認定は12級)について,後遺障害等級認定に関する審査請求(交通事故の異議申立に相当する不服申立)を行い,12級→5級と7等級もの大幅等級アップに成功しました。5級大髙t

上グラフ(「身体障害等級及び災害補償表」をグラフ化)のとおり,労働基準法上の労働災害の障害補償の支給日数は5.64倍になります(労基法別表第2,同法施行規則別表第2)。

実際には,労働者災害補償保険法の障害補償給付を受け,労基法上の給付は受領しないのが一般です。

労災保険法の補償給付の違いは更に大きく,12級の障害補償一時金(給付基礎日額156日分)が,5級では障害補償年金(給付基礎日額の184日分)となります。一時金は一回限り,年金は障害が残る限り毎年受領と,補償レベルが大きく異なりますので,実際の支給額は何十倍にもなる見込みであり,将来の生活不安が大きく解消されました

依頼者の症状固定時の年齢の平均余命は40年超ですので,平均的には40年超の間,障害年金を受け取る可能性がありますが,控えめに30年受領としても35倍の受領になります。

30t

また,最初のグラフの労基法上の支給日数分までは,年金を前払一時金として受領することもできます(5級なら790日分まで。ただし,既受領分の差し引きや,1年超先の分につき年5%の単利割引きがあります。請求の期間制限もあります。「治癒」(症状固定)翌日から2年,通知翌日から1年)。

【ご参考】

障害補償一時金t

矢印2t

障害補償年金t

審査請求で取消処分がされる確率は高くなく,お役所全般に非を認めない傾向があるなどとの指摘もある中,既処分を取り消し,事案に適した判断をされた大阪労働局の審査官,参与はじめ関係各位の皆様には,深い敬意と感謝を表します。

また,本件の事案解決にあたっては,全国交通事故弁護団での情報交換,特に,シンポジウムでの情報交換が大変役に立ちました。弁護団を引っ張る吉田泰郎先生を始め,弁護団で情報提供をして頂いた先生方にも,改めてお礼申し上げます。

※交通事故の後遺障害の認定は,労災の基準とほぼ同様ですので,件数の多い交通事故における後遺障害の等級認定への対応経験や実績が,労災における後遺障害の認定対応に,役に立っています。

労災の事例紹介の難しさと,今回の事例

当事務所の弁護士による比較的最近の労災成功事例では,等級認定前の段階から関与して(治療相談,予診表作成サポート,病院同行,可動域測定の立合い等),要介護1級の後遺障害を取得し,総額1億円以上を取得した事例があります。もっとも,労災事件で和解により高額賠償を取得したケースでは,多くの場合,勤務先は他の従業員とのバランスを気にして,守秘義務条項を入れるのが通常です。そこで,和解で解決した労災の成功事例については,成功事例であればあるほど,詳しい内容をお伝えすることが難しくなる傾向があります。

この点,今回の後遺障害の7等級アップは,勤務先への請求前の段階で,労災における後遺障害の等級認定に関する審査請求の成功事例です。守秘義務条項に影響されないため,労災事件の成功事例として,詳し目にご案内します

なお,本件は大変,苦労した事件です。等級認定時は他事務所の弁護士が受任しており,12級という低い等級が出て1か月経ても当時の弁護士が動かず,審査請求の期限が迫る中,電話相談を受け,急遽,対応しました。本件は後遺障害の等級獲得で終わりではなく,今後,加害者や勤務先への慰謝料等の賠償請求等は残っており,まだまだこれからですが,大幅に前進したことに間違いなく,担当弁護士としても非常に嬉しく,依頼者やご家族と共に過ごした苦しく不安な日々から解放されて,涙が出るくらい嬉しく感じています。

後遺障害の認定内容

1 原処分庁・・・併合12級

ア CRPS(複合性局所疼痛症候群)I型の神経症状・・・12級12号

イ デグロービング損傷による醜状・・・14級4号

 

 2 審査請求の結果・・・併合5級

(1)左下肢の機能障害・・・準用7級

ア 足関節の機能障害(可動域制限)・・・10級の10

イ 足指関節の機能障害(可動域制限)・・・12級の11

ウ デグロービング損傷に伴う歩行力低下「常に硬性補装具を必要とする」・・・準用8級

(2)左下肢の神経障害・・・準用7級

ア 複合性局所疼痛症候群(CRPS)Ⅱ型・・・9級の7の2(相当)

イ デグロービング損傷に伴う血流障害・激痛・知覚鈍麻・・・7級の3(相当)

イにはCRPS(複合性局所疼痛症候群)の評価を準用

(3)左下肢の醜状障害・・・14級の4

12→5

損傷・障害の相関図

意見書には図を多用したほか,最終頁に,「主な損傷・障害の相関図」を付けました。

相関図t

中心あたりに「腓骨神経麻痺」とあります。腓骨神経など主要末梢神経の損傷により,関節可動域制限が生じている場合,例外的に自動値(自動運動による測定値)を用いて認定すべきですが,これを原則とおり他動値(他動運動による測定値)で認定した事例は,審査請求による原処分取消しの多発事案となっています。

また,デグロービング損傷は,大多数の直達損傷と受傷機序が異なるため,労災でも交通事故でも,等級認定の基準に乗りにくい傾向があります。本件でも,併合5級の等級認定にあたり,ぴったり当てはまる等級項目が少ないため,「該当」でなく「相当」「準用」の認定が,多数採用されました。

意見書の添付資料

本件のように,労災の後遺障害の等級認定について,審査請求により大幅な等級アップを獲得するためには,大量の医学書,診断書や,法令,通達,裁判例,処分事例などを読み込み,その中から,最適資料を提出することが重要と考えます。

本件では,以下の資料を提出しました。意見書(15ページ)と添付資料を合わせ,200枚を超えました。

【意見書 添付資料】
甲1-1 労働者災害補償保険法施行規則(14条,別表第1)
甲1-2 障害等級認定基準について
甲1-3 神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準,頭部,顔面及び頸部の障害(上肢及び下肢の醜状を含む)に関する障害等級認定基準
甲1-4 下肢(下肢及び足指)の障害に関する障害等級認定基準,関節の機能障害の評価方法及び可動域制限の測定要領

甲2-1 群馬労働者災害補償保険審査官平成2〇年〇月〇日決定書「別紙」
甲2-2 同決定書(本文)
甲3 労働者災害補償保険審査官決定事案(平成28年1月~3月)「審査請求人に残存する障害は,障害等級第6級に該当するものとして,障害等級第8級とした原処分を取り消した事例」(厚生労働省ホームページ)

甲4 足関節可動域の測定値表(H〇.〇.〇,〇〇病院)
甲5 診療費請求内訳書(H〇.〇.〇-H〇.〇.〇,〇〇病院)

【甲6 腓骨神経麻痺の影響に関する資料】
甲6の1 病気が見えるvol.7脳・神経256頁(下肢の末梢神経)
甲6の2 外傷初期診療ガイドラインJATEC(改訂第5版)177頁(表12-1各末梢神経の代表的な知覚領域と支配筋,運動機能)
甲6の3 解剖学アトラス(原著第10版)473頁(総腓骨神経,支配域)
甲6の4 プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系第3版481頁
甲6の5 基礎運動学第6版264頁(表4-16 足関節の筋)
甲6の6 新・徒手筋力検査法260-261頁 足関節の背屈ならびに内がえし(前脛骨筋)
甲6の7 プロメテウス解剖学コアアトラス第2版421頁
甲6の8 筋骨格系のキネシオロジー原著第2版664頁

医学書t

【甲7 腓骨神経の位置,損傷しやすいことに関する資料】
甲7の1 「ナースフル」のサイト「腓骨神経麻痺」「腓骨神経が損傷しやすい部位」
甲7の2 解剖学アトラス(原著第10版)213頁
甲8 請求人の下腿の状態(デグロービング損傷後の筋肉欠落と醜状)
甲9 診断書(H〇.〇.〇,〇〇病院)
甲10 上・下肢等関節角度測定表(H〇.〇.〇,労災医の作成した意見書に添付のもの)

【甲11 下腿三頭筋と足関節に関する資料】
甲11の1 徒手筋力検査ビジュアルガイド300-303頁 足関節の底屈
甲11の2 プロメテウス解剖学コアアトラス第2版422頁
甲11の3 筋骨格系のキネシオロジー原著第2版669頁
甲12 新・徒手筋力検査法255-257頁 足関節底屈(腓腹筋とヒラメ筋)
甲13 診療費請求内訳書(H〇.〇.〇-H〇.〇.〇,〇〇病院)

【甲14 腓骨神経麻痺,アキレス腱延長術の影響に関する資料】
甲14の1 腓骨神経麻痺後の尖足に対しアキレス腱延長術を行った1例
甲14の2 脳性麻痺児の足の変形について2【手術療法】(尖足対策のアキレス腱延長手術により底屈力が弱まることを記載した資料,愛知県青い鳥医療福祉センターの情報誌「のびやか」)
甲15 足指(足趾)関節可動域の測定値表(H〇.〇.〇,〇〇病院)

【甲16 足趾MMT(徒手筋力検査)に関する資料】
甲16の1 新・徒手筋力検査法271-272頁 母趾と足ゆびの中足趾節(MP)関節屈曲(虫様筋と短母趾屈筋)
甲16の2 新・徒手筋力検査法274-276頁 母趾と足ゆびの遠位趾節間(DIP)関節と近位趾節間(PIP)関節屈曲(長趾屈筋,短趾屈筋,長母趾屈筋)

【甲17 足趾の神経,筋,可動域制限に関する資料】
甲17の1 基礎運動学第6版265頁(表4-17 足の筋)
甲17の2 プロメテウス解剖学コアアトラス第2版442-443頁
甲18 関節可動域制限第2版52-57頁
甲19 質問状兼回答書(回答者:〇〇病院の形成外科の主治医〇〇)
甲20 アキレス腱部の写真

甲21 障害の認定に関する意見書(労災医員)
甲22 障害認定調査復命書(調査官)
甲23 意見書(原処分庁)
甲24 意見書の提出について(複合性局所疼痛症候群に関するもの)

甲25 病気が見えるvol.11運動器・整形外科311頁(CRPSの歴史的変遷)
【甲26 デグロービング損傷に関する資料】
甲26の1 外傷初期診療ガイドラインJATEC(改訂第5版)242頁
甲26の2 標準救急医学423-424頁(「特殊な皮膚・軟部組織損傷」「広範囲皮膚剥脱創-デグロービング損傷とデコルマン損傷」)
甲26の3 標準救急医学420頁(表6-16 「受傷機転と創傷の特徴による種々の創傷形態」)

甲27 膝関節装具(金属支持材入り)の写真
甲28 横浜地裁平成27年1月22日判決(交通事故民事裁判例集48巻1号131-144頁)

文責:重次法律事務所 代表弁護士 重次直樹 大阪弁護士会所属

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