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国税庁統計でみる弁護士の所得急減

国税庁は業種別所得統計を含む各種の統計データを公表しています。

→ 国税庁統計情報

かかるデータは,一部の者だけが回答するアンケート結果より信頼性が遥かに高いものです。

友人の経営弁護士が2008年~2012年の推移を下記のようにまとめました。

★追記★友人の弁護士は、所得のある人数だけを集計しており、損失額ある人を含めると、平均はもっと低いようです。損失ある人を含めると、2008年は27039人(所得一人平均1220万円)→2012年35902人(所得一人平均752万円)▲38%です。

 

申告弁護士数   その総所得    一人平均

2008年 23470人  3299億7200万円   1406万円

2009年 25533人  3030億2900万円   1187万円

2010年 26485人  2847億4800万円   1075万円

2011年 27094人  2698億7100万円    996万円

2012年 28116人  2699億5900万円    960万円

 

2008年 申告者一人平均 1406万円
2012年 同        960万円(2008年比▲31.7%)

4年で3割以上の減少,という数値は衝撃です。しかし,弁護士増・事件減が続いていることは司法統計上明らかであり,2014年は2008年比で4割近く減っていると感じます。

2008年比で2012年が32%減少した要因ですが,

・総所得 ▲18.2%

・弁護士増 +19.8%

弁護士が約2割増えたが,総所得も2割近く減ったため,一人当たり32%の減少となっています。

 

所得500万円以下の弁護士の比率は

2008年 32% → 2012年 42%

 

★所得の中央値が600万円余(2012年)と推計される点

2012年では,500万円以下が42%,400万円超500万円以下が1860人です。

中央値は28116人の半分の14058番目の人の所得です。

500万円以下が11890人,それより2168人上であり,600万円余りと思われます。

弁護士の半数は600万円程度以下の所得しかなく,一部の人が平均値を上げていても,平均でも960万円です。

 

2008年   2009年   2010年   2011年    2012年

母体人数    23470人     25533人   26485人    27094人   28116人
70万円以下   2661人      4920人    5818人     5714人       5508人
100万円以下   218人       269人     268人      295人       365人
150万円以下   490人    366人     465人      424人       585人
200万円以下      544人    365人     459人      502人       594人
250万円以下      609人    535人     482人      544人       651人
300万円以下      581人    619人     470人      608人       708人
400万円以下     1206人   1054人    1093人     1534人      1619人
500万円以下     1254人   1182人    1447人     1596人      1860人

500万円以下計 7563人     9310人   10502人   11217人    11890人
500万円以下比率 32.2%   36.5%    39.6%     41.4%      42.2%

2008年 申告者一人平均 1406万円
2012年 同        960万円  中央値(推定) 600万円余

2014年の中央値は600万円を割っていることは確実と思われ,500万円を割っている可能性もあります。

弁護士増員政策は,需要の見通しを誤っており,雇用の流動性の乏しい日本の労働市場において,少なからぬ弁護士が転職もできず,貧困に陥る危険が現実化しつつあります。

増員政策の根本的な転換は不可避であると思われます。

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