過払金返還請求権の消滅時効の起算点で取引終了時説を取った最判平21.1.22(過払い請求+判例)
継続的な取引における過払金返還請求権の消滅時効の起算点について、個々の過払金の発生時から進行するとする個別進行説を否定し、取引終了時説をとった判決です。
従来は学説・下級審裁判例ともに終了時説が強かったのですが、この判決の直前に、個別進行説を取る高裁判決が複数出たため、注目されていました。
この判決は、過払金返還請求権の消滅時効の起算点を取引終了時とする根拠について、最判平19.6.7(http://shigetsugu-law.com/wp/archives/362)の考え方に基づき、基本契約に基づく継続的貸借取引の下での過払金充当合意を認定し、「過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害となる」として、取引継続中の消滅時効の進行を否定しました。
そして、「過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は,過払金返還請求権の行使について上記内容と異なる合意が存在するなど特段の事情がない限り,同取引が終了した時点から進行する」と判示しました。
(最高裁ホームページ要旨紹介)
継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生したときには,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合は,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限り,上記取引が終了した時から進行する。