基本契約なく過払金のその後の借入金への充当を認めた最判平19.7.19(過払い請求の判例)
基本契約を締結していない取引においても、1回分を除いて切替え・貸増しにより長年にわたり同様の方法で反復・継続して行われ、1回分も約3ヶ月の空白期間しかない事例において、全体を1個の連続した貸付取引と評価して、過払い金をその後の借入金に充当する合意があると認定し、充当計算を認めた判例です。
本件も含め、最高裁は過払い金の事後取引への当然充当は否定しつつ(←この点については強い批判があります)、他方で「充当合意」を相当広く認定しています(←この点については、結論を評価しつつ論理的には問題だという指摘があります)。
(最高裁ホームページ要旨紹介)
同一の貸主と借主の間で基本契約を締結せずにされた多数回の金銭の貸付けが,1度の貸付けを除き,従前の貸付けの切替え及び貸増しとして長年にわたり反復継続して行われており,その1度の貸付けも,前回の返済から期間的に接着し,前後の貸付けと同様の方法と貸付条件で行われたものであり,上記各貸付けは1個の連続した貸付取引と解すべきものであるという判示の事情の下においては,各貸付けに係る金銭消費貸借契約は,各貸付けに基づく借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には,当該過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。