症状固定とは(交通事故の法律用語)
交通事故の損害賠償においては、「症状固定」という概念が非常に重要です。
症状固定とは、治療しても、それ以上良くならない状態を言います。すなわち、交通事故による傷害の症状が安定し、医学上一般に認められた治療を行っても、それ以上の改善が期待できなくなった状態を言います。
健康時の状態が完全に回復した「治癒」の状態と異なり、症状固定の段階で後遺障害(P/D、Permanent Disease)が残った場合には、後遺障害の等級認定を行うことになります。
症状固定の重要性は、損害賠償の項目が前後で変わることや、後遺障害に対する賠償の基準日になる、といった点にあります。
まず、被害者は症状固定の前後において、損害賠償請求を行う項目が異なります。
1 症状固定まで・・・治療費、交通費、休業損害、入通院慰謝料などを請求
2 症状固定後・・・後遺障害による遺失利益、後遺障害の慰謝料、重篤の場合は介護費用などを請求
症状固定までの間は、一般的には(加害者が任意保険に入っているため)加害者側の保険会社が治療費を出します。しかし、症状固定後は支払いが停止されます。代わりに、後遺障害による逸失利益や慰謝料を請求することになります。
次に、症状固定の日は、それ以後に残存する後遺障害についての損害賠償の金額の決定にあたり重要です。特に、症状固定日を起点とする就労可能年数を算出して、逸失利益を計算することから、金額算定に重要となります。