16条請求と15条請求・一括払制度(交通事故、自賠責保険)
16条請求とは、被害者が、加害者が加入している損害保険会社に対して、直接、損害賠償請求をすることを言います。自動車損害賠償保障法(自賠法)16条に根拠規定があるため、このように呼ばれています。「被害者請求」、「直接請求」と言われることもあります。任意保険でも約款上認められるケースが多くあります。
これに対して、加害者が、自ら支払った損害賠償金額について、保険会社に保険金の支払いを請求することを、「15条請求」と言います(自賠法15条)。15条請求は、加害者が一旦、被害者に支払いをする必要があるため、余り行われていません。実際に最も多く行われるのは、保険会社による「一括払い」で、自賠責分を含む損害賠償金額を保険会社が被害者に支払い、後日、保険会社から自賠責保険金を請求する方法です(一括払制度)。
最も一般的で通常行われているのが一括払いですが、16条請求が行われることもあり、15条請求はほとんど行われていない、という関係にあります。
自賠責保険で16条請求が行われる主なケースは
・被害者の過失割合が比較的大きいため、自賠責保険での請求が有利である場合(自賠責保険は、被害に対する賠償金額は低いものの、被疑者の過失割合による減額が小さいため、過失割合が大きい場合には有利になる場合があります)
・最終的な損害賠償金額が多少(遅延損害金分の年5%や弁護士費用の約10%分)少なくなっても良く、二重の手続きで二度手間になっても良いので、一部でも早期に賠償を受けたい場合
また、医学情報を被害者側で先に確保したい、という狙いに基づき、交通事故や医療に詳しい弁護士を通じて、高度後遺症事案において、16条請求をする場合もあります。