デリバティブ倒産 回避策は支払い停止と金融ADR
帝国データバンクと東京商工リサーチの2社が平成23年12月の倒産件数を発表し、平成23年1-12月の数値が出揃いました。
■帝国データバンク
倒産集計 2011年 12月報(帝国データバンク)
(帝国データバンクの特別企画
→第5回「円高関連倒産」の動向調査
■東京商工リサーチ
2011年(平成23年)12月度 全国企業倒産状況(東京商工リサーチ)
(東京商工リサーチの「データを読む」
→2011年「円高」関連倒産動向
・・・ADR活用の効果についても述べられています
「円高」関連倒産の減少背景 金融ADR制度の利用増加
このうち、帝国データバンクは、2011年「円高関連倒産」は85件判明したとし、これは2008年集計開始以降最多だった2010年の58件に比べて、約47%の大幅増で過去最多であったことを明らかにしました。
その要因として、第一にデリバティブ損失による倒産を上げています。
このデリバティブ損失による円高関連倒産は、通常の円高倒産(輸出企業の円高倒産。プラザ合意後の急激な円高期に顕著だった)とは異なり、円高で利益を得るはずの輸入企業が、メガバンクなどが販売した為替デリバティブ商品の損害により、倒産にまで至ってしまう、というものでした。
その商品内容は、銀行が多額の利益(暴利といってもよい)を得て、中小企業に多大なリスクを負わせる不適切なものですが、中小企業は銀行が自らの資金繰り・生死を制する融資元であることから、弁護士を立てて争うことに躊躇しがちでした。
しかし、近時、為替デリバティブ被害やデリバティブ倒産への社会的な批判が強まる中、他の取引とデリバティブ取引を明確に区分けし、他の取引に影響を与えないように申入れを行った上で、デリバティブ取引の支払い停止やADR申立てにより、銀行に損害額の相当部分を負担させることに成功する例が増えています。
銀行も社会的批判が高まっていることから、為替デリバティブ取引のみについて支払い停止やADR申し立てを行っても、他の取引を露骨に締め付けるような対応は取らない傾向にあり、ADRでは平均すれば解約違約金の半分程度以上を銀行が負担する状況が生まれています。
為替デリバティブ被害に悩む中小企業は、為替差損で経営が傾く前に、勇気を持って、支払い停止の申入れや金融ADR申立てを行うべきでしょう。(なお、損失補てん禁止の原則から、交渉により減額を実現することは困難です)
当事務所では、代表弁護士が銀行で外為デリバティブ取引の豊富な実務経験を有しており、通貨オプション・為替デリバティブへの理解は全国の弁護士の中でもトップクラスです。相談をご希望の方は、紹介がなくても対応していますので、電話又はメールでご予約をお願い致します。
フリーダイヤル 0120-051-529(来い幸福)
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為替デリバティブ被害救済対応 基本的な流れ
1 相談申し込み
2 日程調整
3 相談
4 案件調査
5 委任
6 支払い停止(為替デリバティブ取引のみ決済を停止すること)
事前に、他の支払い等は行うこと、銀行も他の取引に影響を与えないように通知しておきます。
7 ADR → あっせん・調停による解決内容の確定
(全銀協又はFINMAC。当事務所では前者)
一度しか利用できず、特に全銀協ADRでは一期日勝負となりますので、事前に入念な準備と打合せを行います。特に、ヘッジ効果について強調します。
(8 訴訟→論点については、多面的総合的に主張する必要性があります)
(9 整理手続き→私的整理・法的整理)
なお、東京商工リサーチ平成23年11月度全国企業倒産状況の調査結果でも、ADRがデリバティブ倒産の増加への歯止めになっていることが述べられています。
→ http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2011/1215239_1903.html
上記サイトの下記項目や内容は重要ですので、関心のある方は是非、一読されることをお薦め致します。
・「円高」関連倒産の減少背景 金融ADR制度の利用増加
2010年の円高倒産が前年比3.5倍の急増した背景に、通貨デリバティブ損失による倒産26件発生したことがあること、他方、2011年9月までは前年並みにとどまっている理由として、金融ADR制度利用の急増が大きいと評価しています。
・2010年10月以降の「円高」関連倒産に増勢の動き
10・11月は円高倒産が2010年最多を連続更新、「通貨デリバティブ損失」倒産も計9件。
・「円高」関連倒産が年間600件を超えたプラザ合意後の1986・87年(各623・624件)に及ばないものの、93-96年に似た水準と指摘。
・銀行取引へのマイナス影響を考慮して、金融ADR制度をためらっていた中小企業の申立が増えると、銀行経営にも影響がある点も指摘しています。
→他サイトの記事(金融ADRを評価する東商リサーチ発表を引用)
http://response.jp/article/2012/01/13/168301.html