セゾンの債務整理と過払い請求
クレディセゾンの債務整理と過払い請求について,最近の情勢まとめます(24.6.6時点)。
1 過払い請求
(1)和解から入金までの期間
和解が成立してから入金までの期間は,大手消費者金融・クレジット会社の中で,最も早いと思われます。大手カード会社の中でも,最も良心的な対応だと思います。
具体的には,和解成立から,2週間程度の期間で入金がなされることが多いのです。
ご参考までに,他の消費者金融やカード会社について,和解成立から入金までの期間は,おおよそ次の通りです(当事務所において,入金日まで5%を付利した金額をベースにほぼ満額で和解(いわゆる5+5,ただし、端数カットや訴訟費用程度の妥協は行う)した場合の,和解から入金までの期間です。平均的期間であり,金額や事例によって変わります)
アコム 6ヶ月程度
プロミス 10ヶ月程度
新生フィナンシャル 2ヶ月半程度
CFJ 1ヶ月程度
シンキ 4ヶ月程度
ポケットカード 7ヶ月程度
オリコ 8ヶ月程度
三菱UFJニコス 3ヶ月半程度
セディナ 3ヶ月程度
新生カード 2ヶ月程度
上記と比較すると,セゾンの過払金支払いの対応は,同業者の中でも積極的・良心的な面を感じます。
(2)過払金に付される5%の法定利息
しかし,クレディセゾンは,過払金に対する5%の法定利息の支払いについて,訴訟前で同意することはありません。この点は,ほとんどのカード会社と同じ対応です。
最高裁判決は過払金の悪意の受益者に5%の法定利息を支払うべきとしており,カード会社では,みなし弁済の厳しい要件を充足する余地が事実上ないにもかかわらず,「任意の段階では」と称して,5%の利息を支払いません。
この点については,クレディセゾンという東証一部上場の著名金融機関の対応として,改善すべき点だと思います。
2 任意整理
任意整理においては,セゾンも他の大手カード会社と同様の対応で和解に至るケースが多いです。具体的には,法的整理回避を前提に,最終取引日における元金を無利息で60回までの分割和解契約に応じる場合が多くなります。
3 残債と過払金の両方があるケース
セゾンは,過払金返還についても,残債の返済についても,過払い発生時の利息5%を含めない計算を主張するため,まとまらないケースも出てきます。残債務と過払金を相殺すると,当事務所側の計算では少額の過払い,クレディセゾン側の計算では少額の残債務,という場合でも,0和解に応じないケースもあります。
その場合,過払金の消滅時効は10年,セゾン側の債権は5年の消滅時効と期間が異なるため,セゾン側の債権が時効で消滅する5年を待って消滅時効の主張(=時効援用といいます)をすることにより,債務の不存在が確定する,というケースもあります。