過払い請求の動向(報道、および法律事務所の案件状況)
【3,4月より大幅減少の傾向】
過払い金利息返還請求は、一時的な減少傾向に入った後も、改正貸金業法施行や武富士の会社更生手続きにより、昨年から今年の年初にかけて、再度、増加傾向にありました。
ところが、武富士の過払い債権届の期限である2月末までの増加から一転し、3,4,5月は大幅減少の傾向にあります。
【時事通信記事】
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2011052800183
時事通信が28日伝えたところによると、アコム、プロミス、アイフルの消費者金融大手3社に対する過払い利息の返還請求件数は大幅に減少し、市場で一時期高まった経営不安はいったん後退した。ただ、復活の日は遠く、貸付金残高が底打ちするのは「2012年度後半になりそう」というプロミス社長の発言を紹介している。
【法律事務所での受任状況】
法律事務所における過払い請求の受任動向は、二極化が進み、大きく見ると、債務整理を得意とする事務所では増加、一般事務所では減少、という状況が続いていました。
しかし、3・4・5月については、これまで増加や高水準安定だった事務所においても、大幅に減少しているところが多いようです。
そこで、これまで、過払い請求や債務整理の激増に伴い、他の事件を抑制していた事務所においても、他案件の受任を復活させたり、新規分野への対応強化を進める傾向にあるといえます。
なお、日弁連が定めた債務整理処理規程(弁護士の直接面談を要求)の影響で地方に支部を開設する事務所が増える反面、過払い案件の終息に伴い支部を撤収する事務所も増えています。
(28日に行われた30以上の法律事務所の情報交換会を含む、当事務所で得られた情報に基づく判断)
【過払い請求への影響】
既に貸金業者の多くにおいて経営状態が悪化しており、過払い請求が難しくなる傾向は今後も続くと考えられます。もっとも、悪化や困難化のスピードは、過払い請求の減少により緩和される可能性があります。