右肩鎖関節脱臼 異議申立てで後遺障害が非該当から10級へ
昨日,交通事故の後遺障害の等級認定で,嬉しいニュースがありました。
当事務所の異議申立てが認められ,等級が併合12級から併合9級となり,自賠責保険分だけで392万円の損害賠償金が追加入金となりました(総計約740万円を取得)。しかも,変形障害が主認定だったのが,今回は機能障害が主認定となり,後遺障害による逸失利益が大幅に増額になりそうです。今後,数千万単位の賠償金を得られることが確実と思われます。
右肩関節脱臼について,前回は,後遺障害に該当しない,と判断されたのですが,当事務所の異議申立てで,今回は,10級10号=「上肢の3大関節の機能に著しい障害を残すもの」に該当する,と判断されました。
全体でも,前回の併合12級から,今回は併合9級になりました。
特に,前回の12級は,右鎖骨の変形障害(12級5号)が中心でした。
変形障害の場合,後遺障害の慰謝料は取れても,逸失利益については,保険会社は争ってきます。任意交渉の段階では払われないことも多いのです。取れた場合でも,労働能力喪失率や喪失期間が大幅に抑えられるケースが少なくありません。「変形障害でも逸失利益を取れた」ということを成功事例としてホームページに掲載する弁護士の交通事故専門サイトも多数見られます。
しかし,今回は,変形障害ではなく,機能障害ですから,労働能力喪失期間は67歳まで認められます。しかも,喪失率も大幅に上がります(10級で27%,9級で35% ⇔ 14級で5%,12級で14%)。
依頼者も大変喜んでいます。今回の交通事故は非接触の事故であったことから,当初,加害者や保険会社が責任を否定して治療費も出しませんでした。被害者は自己負担を強いられ,当事務所の相談に来たのでした。当初は非常に苦しい思いをしたのですが,加害者は刑事告訴後に漸く責任を認めました。今回の後遺障害の等級認定に対する異議申立の成功で,今後,数千万単位の損害賠償金を獲得できることが,ほぼ確実となりました。
【前回の認定】・・・併合12級
1 右肩関節の可動域制限の機能障害 … 非該当
2 右鎖骨の変形障害 … 12級5号 = 鎖骨に著しい変形を残すもの
3 神経症状 … 14級9号 = 局部に神経症状を残すもの
【今回の認定】・・・併合9級
1 右肩関節の可動域制限の機能障害 … 10級10号 = 上肢の3大関節に著しい障害を残すもの
2 右鎖骨の変形障害 … 12級5号 = 鎖骨に著しい変形を残すもの
3 神経症状 … 14級9号 = 局部に神経症状を残すもの
【自賠責,後遺障害分の上限金額】
12級 ・・・ 224万円
9級 ・・・ 616万円 (+392万円,+175%,2.75倍)
※別途,傷害分として120万円があります。
【後遺障害慰謝料の裁判基準】・・・「大阪地裁における交通損害賠償の算定基準」(第三版)
12級 ・・・ 280万円
9級 ・・・ 670万円 (+390万円,+139%,2.39倍)
【ご参照】交通事故(人身傷害事故)における主要な損害賠償項目
I 症状固定前
1 治療費
2 休業損害
3 入通院慰謝料
Ⅱ 症状固定後
4 後遺障害慰謝料
5 後遺障害逸失利益