弁護士数ランキング2014
日本弁護士連合会のサイト情報を基に,弁護士数上位の巨大事務所の弁護士数とその変動を調べました(2014年2月末時点)。増減はジュリナビの2013年弁護士事務所全国ランキング100との対比としました。また,拠点についても付記しました。なお,正確を心がけていますが,内容を保証するものではありません。
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1 西村あさひ法律事務所 455→474(+19) 東京,大阪,名古屋,福岡
2 森・濱田松本法律事務所 320→340(+20) 東京,福岡
3 長島・大野・常松法律事務所 336→319(-17) 東京
4 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 310→297(-13) 東京,名古屋
5 TMI総合法律事務所 265→292(+27) 東京,名古屋
6 シティユーワ法律事務所 122→127(+5) 東京
7 アディーレ法律事務所 118→126(+8)
池袋,立川,那覇,名古屋,札幌,仙台,大阪,高松,福岡,横浜,
新潟,静岡,神戸,広島,金沢,青森,千葉,宇都宮,京都,富山,
町田,北千住,鹿児島,浜松,小倉,丸の内,新宿,和歌山,奈良,水戸,
福山,大宮,岐阜,長岡,岡山,姫路,四日市,函館,旭川,釧路,
岡崎,佐賀,堺,草津,徳島,沼津,熊本,沖縄胡屋,長崎,佐世保,
八戸,松山,福島,郡山,盛岡,川﨑,高崎,長野,松本
8 大江橋法律事務所 108→111(+3) 大阪,東京
9 ベーカー&マッケンジー法律事務所 110→106(-4) 東京
10 北浜法律事務所 90→93(+3) 大阪,東京,福岡
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動向としては,次のようなことが指摘できると思います。
1)引き続き,上位を東京の大手渉外事務所が占めている。
2)リーマンショック以前の増員傾向からリーマン後の頭打ち傾向は変わらず。ただし,やや回復の兆しも感じられる。
3)快進撃を続けていたアディーレ法律事務所の増員ペースが急速にダウンした。
4)東京,大阪の企業系大手事務所が,名古屋や福岡などに支部を展開する傾向が続いている。
5)弁護士の大幅増員を吸収できる需要は見られず,過払い請求の減少から債務整理系の増員も頭打ちとなり,弁護士の余剰傾向が加速している。
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債務整理系と言われる過払い請求により急成長した事務所については,下記のように動向が分かれているようです。
1)縮小傾向の事務所(MIRAIO,ITJ,アクティブイノベーション,岡林など)
2)債務整理・過払い請求で多店舗展開をしつつ,分野も拡げて(交通事故,刑事,離婚,不動産など)増員継続の事務所(アディーレ,ベリーベスト,アヴァンセ,心など)
3)目立った他分野展開が見られず,債務整理・過払い請求を中心にしたまま,大幅な縮小はない事務所(ホームワン,ひまわり,プロフェクトなど)
なお,1)の事務所では,過払い請求以外での展開分野はそれぞれ異なるようです(ITJ→企業関係,MIRAIO→肝炎関係,岡林→為替デリバティブ)。
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債務整理系を含む新興事務所の主要プレイヤーは下記のような変動です。
1 アディーレ法律事務所 118→126(+8) 59拠点(前記)
2 ベリーベスト法律事務所 58→69(+11)
東京,福岡,広島,札幌,名古屋,大阪,仙台,横浜,静岡,神戸,
立川,千葉,京都,大宮(14拠点)
3 アヴァンセリーガルグループ 30→41(+11)
東京,埼玉,大阪,宇都宮,名古屋,横浜(6拠点)
4 港国際グループ 28→29(+1)
横浜,東京,相模原,横須賀,溝の口,神戸,大阪,福岡(8拠点)
5 泉総合法律事務所 圏外→23
新橋,大和,池袋,立川,新宿,横浜,町田,大宮,上野,千葉,
船橋,蒲田,成田,柏,横須賀,藤沢,越谷(17拠点)
5 心 圏外→23
津,名古屋,名古屋駅,岐阜,松坂,豊田,東京,名古屋みなと(8拠点)
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新興事務所の傾向としては,競争の激しい都心部を避けて,競争環境の良い(需給関係の良い)郊外・地方に展開している事務所が,成長しているか,大幅な減少を免れているように見えます。
もっとも,過払い請求の縮小傾向が続くことは確実であり,郊外・地方への展開だけでは限界があります。過払い請求よりも難易度の高い他分野への展開の成否が,今後の成長や存続の鍵のように思われます。