過払い請求に関係する重要判例
過払い請求に関する重要な判例を紹介します。クリックすれば詳細ページ,要約一覧はこのページ下部にあります。
1.最大判昭39.11.18 ・・・ 超過支払いの元本充当
2.最判昭43.11.13 ・・・ 過払い金返還請求を認め,性質を不当利得とした
3.最判昭48.9.18 ・・・ 過払い充当額につき,債権者の期限の利益を否定
4.最判昭55.1.24 ・・・ 過払い請求の消滅時効期間は10年
5.最判平17.7.19 ・・・ 貸金業者の取引履歴開示義務
6.最判平17.12.15 ・・・ リボ取引のみなし弁済要件を厳格解釈
7.最判平18.1.13(同19日、同24日) ・・・ 期限の利益喪失条項ある場合のみなし弁済を原則否定
8.最判平19.6.7 ・・・ (基本契約事例)過払い金発生後の借入金への充当合意
9.最判平19.7.13、最判平19.7.17 ・・・ 悪意の受益者推定
10.最判平19.7.19 ・・・ (基本契約がない事例)過払金のその後の借入金への充当
11.最判平20.1.18 ・・・ 事実上1個の連続した貸付取引と評価できる判断7要素
12.最判平21.1.22 ・・・ 消滅時効の取引終了時説
目次
1.最大判昭39.11.18
・・・超過支払いの元本充当
制限利率を超える利息等の支払いは残存元本に充当される(民法491条),として,従来の最高裁判例を変更した,きわめて重要な最高裁の大法廷判決です。また,元本充当が経済的弱者の地位にある債務者の保護を主たる目的とする利息制限法の立法趣旨に合致するとして,利息制限法の立法趣旨についても述べています。
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2.最判昭43.11.13
・・・ 過払い請求を認め,不当利得とした。
利息制限法の制限利率で計算すると完済になった後の返済金(過払い金)について,不当利得返還請求ができることを認めた重要判例です。
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3.最判昭48.9.18
・・・ 過払い充当額の債権者の期限の利益と利息受領を否定
超過利息を元本充当後の利息・遅延損害金の計算において,充当後の元本を基礎にすべき,として,債権者(貸金業者)の利息収受について期限の利益を否定した。
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4.最判昭55.1.24
・・・過払い請求の消滅時効を10年とした
過払い請求の元となる金銭消費貸借取引が商行為でも,消滅時効期間は10年とした。
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5.最判平17.7.19
・・・ 貸金業者の取引履歴開示義務を認めた。
取引履歴の開示義務を貸金業者が負い,不開示は不法行為を構成すると判示し,債務整理・過払い請求の実務に大きな影響を与えた重要判例
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6.最判平17.12.15
・・・ リボ取引のみなし弁済要件
リボルビング取引のみなし弁済要件を厳格に解し,債務整理や過払い請求の実務に大きな影響を与えた判決。利息制限法の制限利率を超える貸金業者のリボルビング方式取引のほとんどで,みなし弁済が否定されることになった。
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7.最判平18.1.13(同19日、同24日)
・・・ 期限の利益喪失条項によりみなし弁済を否定
期限の利益の当然喪失条項の下で,制限超過額を支払った場合,原則として,超過部分の支払は,任意に支払ったと言えない,とした。みなし弁済は否定されることになり、債務整理や過払い請求の実務に大きな影響を与えた。
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8.最判平19.6.7
基本契約ある場合,過払い金発生後の借入金への充当合意を認めた
(カード借入の事案)基本契約に基づき,限度内で借入・返済が繰り返され,弁済が個別貸付に対応せず貸付全体に対して行われる場合,過払い金の充当も全体になされ,また,過払い金発生時に他の債務が存在しなくても,その後に発生する借入金債務に充当される。
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9.最判平19.7.13、最判平19.7.17
・・・ 悪意の受益者推定
貸金業者が制限超過利息を受領し,みなし弁済の適用も認められない場合,特段の事情がなければ,「悪意の受益者」と推定されるとし,過払い金に利息が付されることが原則となった重要判例です。
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10.最判平19.7.19
・・・ 基本契約なく過払金のその後の借入金への充当を認めた
基本契約を締結していない取引でも,長年反復・継続して空白期間も短期の事例で,全体を1個の連続した貸付取引と評価し、過払い金の充当計算を認めた判例
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11.最判平20.1.18
・・・ 第1基本契約による過払金がその後の第2契約に充当される場合
第1契約の過払い金が、その後に締結した第2契約に充当されるか,事実上1個の連続した貸付取引と評価できる場合のみ充当される,その判断の7要素を示した。
【7要素】1 貸付・弁済の期間と空白期間 2 契約書の返還の有無 3 カードの失効手続 4 空白期間の接触状況 5 第2契約に至る経緯 6 利率等の契約条件の異同 7 その他
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12.最判平21.1.22
・・・ 消滅時効の取引終了時説
反復継続取引における過払い金返還請求権の消滅時効の起算点を,全体の取引終了時とし,個々の過払金の発生時からとする個別進行説を否定した判決
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