基本契約ない場合の充当、過払金への利息に関する最判平19.2.13(過払いの判例)
この判決は、基本契約ない場合の充当関係と、過払金への利息について判示した重要判決です。
1 充当 基本契約がない取引で、第1取引で発生した過払金は、その後に開始された第2取引の貸付金には、特段の事情(=下記①②③など)がない限り、充当されない。
①基本契約が締結されたと同様の貸付が繰り返されている
②第1貸付の際にも第2貸付が想定された
③充当特約が存在する
2 過払い金に付される法定利息 商事6%でなく民法の5%(貸金業者が悪意の受益者の場合)
1のについては、それまでの最高裁判例を大法廷を開かず変更したとの批判もあります。
(最高裁ホームページの要旨)
1 貸主と借主との間で継続的に貸付けが繰り返されることを予定した基本契約が締結されていない場合において,第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生し,その後,第2の貸付けに係る債務が発生したときには,特段の事情のない限り,第1の貸付けに係る過払金は,第1の貸付けに係る債務の各弁済が第2の貸付けの前にされたものであるか否かにかかわらず,第2の貸付けに係る債務には充当されない。
2 商行為である貸付けに係る債務の弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当することにより発生する過払金を不当利得として返還する場合において,悪意の受益者が付すべき民法704条前段所定の利息の利率は,民法所定の年5分である。