米国法律事務所と弁護士会(ABA)総会の視察旅行 2013 (4)
(前回記事の続き)
3 鈴木淳司カリフォルニア州弁護士のレクチャー
鈴木弁護士は、父を亡くした後、高校時代から米国に渡って米国弁護士を目指し、日米双方の法律業務に通じた米国弁護士となった。日本の弁護士や企業などとも連携を取りながら、その特色を活かした業務を行っている。
日米の著名企業やオーナーの取引先があり、日本の経営者のみならず、日本の弁護士とのネットワークも広い。日米両方の法務に通じている。その奇特な長所を活かして、独特の活動を行っている。・・・船井総研が米国で法律事務所の見学ツアーを企画する際、協力を依頼する弁護士だそうだ。
レクチャーの途中で、4時開始の刑事裁判で、傍聴の価値のありそうな面白いものがある、ということで、連邦裁判所に向かった。
4 裁判所の傍聴 ・・・ 刑事裁判における陪審員選定
【連邦裁判所の入るフィリップ・ボルトン連邦ビル】
Phillip Burton Federal Building & United States Courthouse
→ ウィキペディア
4の連邦裁判所の傍聴ですが,上記フィリップ・ボルトン連邦ビル内の裁判所でした。
周辺には他の裁判所や行政庁舎などが集中しています。
【サンフランシスコ市役所】
【州裁判所】
【連邦上訴裁判所】
James R. Browning United States Court of Appeals Building
→ ウィキペディア
私たちが傍聴したのは、4枚の写真の一番上のフィリップ・ボルトン連邦ビル内の刑事裁判でした。
まず、裁判所に入る前のチェックの厳しさに驚きました。・・・国際空港でのチェックに近い。ベルトを外し、身に着けた時計やキーなどの金属製品、カバン内の電気製品を別トレイに移し、カバンとともにスキャニングにかける。日本人であればパスポートの提示を要求される。
裁判所内での撮影・録画は厳禁であり、見つかれば逮捕されるそうです。(なお、鈴木淳司弁護士の事務所はサンフランシスコ連銀に近く、9・11の後は通行が閉鎖されたそうです。また、空港からホテルまで送って頂いた案内人は判決後に暴動が起ることもあると話しており、治安対策の必要性が日本と大きく異っているようです)
現地時間の午後4時前に裁判所前で後発組を待ったが、背広を着て日光と風を受けてちょうど良いか少し涼しいくらいの気候でした。晴天の下、余りにも爽やかで心地よい気候が、猛暑の日本と対照的でした。
米国の裁判では、陪審員制度、ディスカバリー(証拠開示)、デポジション(証言録取)など日本にない制度があります。また、法廷のバーの向こう側に弁護士や検察官用のミネラルウォーターの給水器と紙コップが用意されていました。陪審員の選定には人種問題が絡むこともあります。・・・彼我の法文化・法慣習の差異を肌で感じました。なお、裁判所にはオバマ大統領、バイデン副大統領の写真が飾られ、FBIのMOST WANTED TOP10の指名手配写真などもありました。
昼食は中華、夕食はタイ料理を頂いた。
旅行に持ってきて良かったと思ったものに、爪楊枝があります。パンチ、ホッチキス、ハサミなどの文具や爪切りも、持ってきて良かった。また、飲料の自販機やコンビニが日本ほど多くない。ミネラルウォーターの携帯は必須です。
ここまで、日本に戻って法律事務所の経営に直ちに役立ちそうな事項はない。しかし、いろいろなイメージや印象を持つことができた。イメージを持てたり、経験し体感することはとても重要だと思います。・・・法律事務所・弁護士業務関係の海外視察は初めてだが、来る価値があると思う。個別具体的な知識というより、法律事務所の経営者として、いろいろなイメージが膨らむことが大切だと思います。
今回の船井総研の海外法律事務所見学ツアーは、5月のシンガポール視察ツアーから3ヶ月しか空いておらず、参加弁護士が4名のみと激減したが、質問などの順番は回って来やすい。講師やコンサルタントと直接話せる機会、割合もずっと増える。その点で、非常にお得なツアーだったと思いました。
傍聴では、途中、鈴木淳司弁護士の左に福岡の宮田弁護士、右に私、ということで、マンツーマンに近い状態で解説を聞くことが出来て、非常にラッキーでした。