交通事故の入通院慰謝料 (大阪地裁基準を中心に記載しています)
目次
症状固定までの賠償で重要な入通院慰謝料
人身傷害の交通事故事件において,損害賠償で大きな比重を占めるのは,症状固定までは,①治療費,②休業補償,③入通院慰謝料です。
このうち,③入通院慰謝料は,金額も大きく,かつ,自賠責基準,保険会社基準と,訴訟基準(裁判基準,弁護士基準)が大きく異なる項目です。
入通院慰謝料の基準表:大阪基準の場合
大阪では,平成17年1月1日以降の通常傷害事故(⇔重傷事故)では,下記一覧表が基準となります。重要なのは,通院期間とは通院の始期と終期の間の日数を言うのであって,通院した実日数を言うのではない,ということです。
例えば,通院6か月の入通院慰謝料の基準額は120万円です。入院のみ6か月なら,基準額は250万円です。
また,入院3か月,通院13か月の場合,入通院慰謝料の基準額は250万円になります。
ぴったり1か月単位でない端数は,日割り計算します。
(図表はクリックで拡大)
なお,入院待機中の期間及びギブス固定中等による自宅安静期間は,入院期間と見ることがあります。
また,最初のうちは,入院でも通院でも,1か月伸びる毎に,金額が大きく増えますが,長期化すると,増額幅は小さくなっていきます。
ただし,図表の基準そのままではなく,事情によって増減修正されます。
修正のポイント
増額要因
1)重傷の場合,金額が大きい別の基準表が用いられます(大阪重症基準)。金額が20%から30%程度増額されます。別の基準表が用いられる「重傷」の場合とは,社会通念上,負傷の程度が著しい場合を言います。例えば,下記のような場合が該当します。
・高度の意識障害が相当期間継続した場合
・骨折又は臓器損傷の程度が重大であるか多発した場合
(図表はクリックで拡大)
2)仕事や家庭の都合等で本来より入院期間が短くなった場合
3)加害者に飲酒運転,無免許運転,著しい速度違反,殊更な信号無視,ひき逃げ等が認められる場合
4)被扶養者が多数の場合
5)損害額の算定が不可能又は困難な損害の発生が認められる場合
6)生死が危ぶまれる状態が継続した場合
7)麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被った場合
8)手術を繰り返した場合
減額要因
1)通院が長期かつ不規則な場合
実際の通院期間(始期と終期の間)と,実通院日数の3.5倍の日数とを比較して,少ない方の日数を基礎として,通院期間を計算します。
2)軽度の神経症状
軽度の神経症状にすぎない場合,たとえば,むち打ち症で他覚所見のない場合などでは,通常の慰謝料の3分の2程度に減額されることがあります。
3)必要性が乏しい
入院の必要性が乏しいのに,本人の希望によって入院していた場合