偏頗弁済・・・破産手続きにおける代表的な免責不許可事由
破産法252条1項各号には,破産免責不許可事由が挙げられています。
このうち,第3号は偏頗弁済と呼ばれ,破産手続きの主目的の一つである債権者平等を害する不誠実な行為であるため,免責不許可事由として挙げられています。
要件ですが,条文を分析すると,下記の4つとなります。
1)特定の債権者に対する債務について
2)当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で
3)担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって
4)債務者の義務に属せず,又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと
支払不能後,又は破産目的後の偏頗弁済については,相手方悪意の場合には否認権行使の対象にもなります(破産法162条)。
もっとも,破産者においては,多かれ少なかれ,偏頗的な弁済が行われており,余りに厳格に偏頗弁済を免責不許可事由とすることは適切でなく,上記2)の要件が絞りになっています。
それでも,明らかに一部の債権者に特別の利益を与えている場合には,不許事由と認めざるを得ない場合も多くあります。
そのような場合でも,一部債権者に与えた利益分を財団に組み入れれば,252条2項の裁量免責を得られるケースが多いでしょう。