NISの経営破たん,ネオラインGへの過払い請求・債務整理
■NISグループの民事再生申請
NISグループ(東証2部上場)は平成24年5月9日午後6時,東京地方裁判所に民事再生手続き開始の申立てを行い受理された旨を発表しました。負債総額は約500億円。6月10日上場廃止予定です。
→ ロイター記事
ネオラインホールディングス株式会社(代表取締役社長 藤澤信義)のホームページでは,2010年(平成22年)6月25日発表のNISグループとの資本・業務提携(→詳細はこちら)を平成24年5月9日付で解消した旨が公表されています。
→ 提携解消の発表
■ネオライングループへの過払い請求や債務整理の実情
債務整理や過払い請求においては,ネオライングループ(NISグルー
プ,Jトラストを含む)の企業においては,極めて不当な対応をすることが多く,注意が必要です。
1例を紹介しますと,当事務所の代表弁護士が対応した案件で,次のような事例がありました。
Jトラストに対する過払い請求の案件(Aさん),債務整理で引直し計算後も残高が残る案件(Bさん)について,Jトラストの当初の提案は,下記の通りです。
・Bさんの債務整理は,遅延損害金を含めて一括返済を要求
(他の貸金業者が同対応を取った場合,Bさんは破産必至の状況を無視)
・Aさんの過払い金は,Bさんの支払いがあれば,1割払う
上記事例について,やむを得ず,Jトラストに対して過払金返還請求権を有する依頼者(Aさん)から,Jトラストに対して債務を有する依頼者(Bさん)に対して,過払い金返還請求権を割引価格によって債権譲渡を行った上で,譲受人である債務者(Bさん)において残債務と過払い請求権を相殺する,という対応を取りました。
同様の債権譲渡対応は,ネオラインキャピタルにおいても当事務所において実績があります。
依頼者同士の債権譲渡を行う場合,債務整理の依頼を受けている弁護士が双方の代理人となることは出来ず,一方に別弁護士を立て,他方の代理人となる場合においても,当事者からの同意を得ることが弁護士職務規程上の要件となっています(弁護士職務規定27条ただし書,同条3号等をご参照)。
このため,普段は,通常のケースよりはるかに手数と時間のかかる債権譲渡手続きは行いませんが,Jトラストやネオラインキャピタルなど,ネオライングループにおいては,
・債権は遅延損害金込みで全額を要求するが,
・過払金は訴訟前では1割程度しか払わない,
という要求がされる場合が少なくないため,やむを得ず,債権譲渡手続きを取り,相殺による過払金回収を行う場合がありました。
この点,日経ビジネスには,ネオライングループの藤澤信義氏のインタビュー記事で,過払い請求に対する同人の主張を掲載していますが,当事務所での経験とは全く異なる内容でした。
記事広告と言われる実質有料の広告であるのか,ろくな裏付け取材もしていない劣悪な取材記事であるか,広告主である消費者金融業界におもねっているのか,日経ビジネスがこのような記事を掲載する確たる理由は分かりませんが,日経ビジネス・日経グループのレベルの低さを感じざるを得ない内容でした。
ネオライングループが過払い・債務整理について,実際にどのような対応をしているか,については,
→ 債務整理・過払い専門家ブログ集 こちら
→ はなみずき司法書士事務所の記事
—–(はなみずき司法書士事務所の記事より)—
ネオライングループは犯罪ではないものの,民事的にはなかなか際どいことをやってくる会社です。
分かり易く言えば,業績の悪い貸金業者をタダ同然の値段で買取り,過払いは基本的には無視するか極めて少額の返還,借入が残る場合は訴訟をしてでも利息まで付けてきっちり全額回収,という会社です。
——–
はなみずき司法書士事務所の記事内容と当事務所の経験とは同じであり,他の多くの弁護士・司法書士のブログ・ホームページ等にも,同様の記載があります。
日経ビジネスのインタビュー記事と実態とは,正反対と言って良いほど異なりますので,注意が必要です。