過払い金取得実績と過払い請求の動向(2014.5)
前回,2013年9月までの過払い金取得実績をご報告しました。
今回は,2014年4月までの取得実績をご報告します。
1 月次取得実績
2013.10 1176万5428円
2013.11 1239万9000円
2013.12 667万5000円
2014.01 164万0000円
2014.02 649万9580円
2014.03 632万0000円
2014.04 538万0000円
【コメント】
1 5か月連続で,1000万円を切っており,過払い金の取得額は減少傾向にあります。
2 もっとも,引直し計算上の過払い金(最有利計算による)は,2012年計算分が1億4186万1302円だったのに対して,2013年計算分は1億7468万5238円(+23%)で増加しています。
かかる最有利計算による引直し計算上の過払い金には,ショッピング債務(立替金債務)と相殺されるもの,中断があって,中断前の部分が消滅時効にかかっており,実際は大幅に減少するものや,0になるものがあり,全額を取得できる訳ではありません。
しかし,今年も8000万円以上の過払い金の取得があると考えています。
3 2014年計算分の引直し計算上の過払い金は,約3000万円と低調です。
2015年以降の過払い金の取得については,大きく減少していくと考えられます。
4 過払い請求の減少は,当事務所に限らず,全般的に見られる傾向です。
「大手の債務整理系と言われる事務所に過払い請求の依頼が集中し,一般的な事務所では過払い請求が減少するが,大手債務整理系の事務所では大きく減っていない。」,という時期は過ぎました。
債務整理専門の事務所でも,過払い請求は減少傾向に入ったようです。
5 過払い請求の減少を受けて,大手消費者金融会社の経営は改善の兆しが見えます。
ただし,アイフルについては,2014年7月10日にADRで猶予されていた債務の返済期限が到来します。アイフルの経営については予断を許しませんが,一時よりは楽観的な見方が増えています。
例えば,ダイヤモンドは単独での生き残りは困難としつつ,M&Aによる再編について触れています
→ 【アイフル】迫るADRの返済期限 経営再建は一見順調でも単独での生き残りは困難
・破たんしない,と予測する弁護士や過払い債権者が増えると,過払い請求で妥協しなくなり,破たんの可能性が高まる
・破たんする,と予測する弁護士や過払い債権者が増えると,過払い請求で妥協するようになり,破たんの可能性が低くなる
という,自己否定予測(SELF-DENYING PROPHENCIES)の状況が見られます。
2 年次取得実績
2007年 96万5000円
2008年 8546万6311円, 累計 8643万1311円
2009年 7508万2083円, 累計 1億6151万3394円
2010年 1億9960万2707円, 累計 3億6111万6101円
2011年 2億0185万5745円, 累計 5億6297万1846円
2012年 1億4249万5888円, 累計 7億0546万7734円
2013年 1億1347万8444円, 累計 8億1894万6178円
【コメント】
4年連続で1億円を超える過払い金を取得していますが,ピーク年(2010年,2011年の各約2億円取得)の約半分であり,本当のピーク時(2010年下期~2011年上期)の3分の1程度にまで減少しました。
減少の度合いは,2012年に比べて,2013年は穏やかになりました。
2014年も8000万円程度の過払い金の取得を見込んでいますが,2015年以降は更に減少する見通しです。
当事務所においては,2008年,2010年,2011年には過払い請求の比率が上昇しましたが,2012年以降は過払い請求の比率が減少傾向が明確になっており,他分野への移行が進んでいます。
他分野のうち,2012年,2013年には,交通事故や金融分野の比重が大幅に上昇しました。
今後も,過払い請求については積極的に対応し,当事務所が蓄積したノウハウを活かしていきたいと思いますが,事務所の中での比重が減少していくことは確実であると考えています。