年収2000万円を超える方の養育費・婚姻費用
養育費・婚姻費用は,
を基準に特殊要因を修正しますが,
年収2000万円(自営では1409万円)までしかありません。
医師・会社経営者・事業経営・スポーツ選手・著名人・資産家など,富裕層の離婚や別居において,年収2000万円(自営なら1409万円)を超えるケースも珍しくありません。この場合,明確な金額の基準は示されていません。
配偶者や子に対する生活費支払い義務は,生活保持義務 =自己と同程度の生活を保持させる義務です。
そこで,2000万円を超えて収入が増えるほど,生活費も増える,という考え方にも合理性があります。
もっとも,年収が高い人が収入を全部使う訳ではなく,将来の減収に備えるなど,貯蓄や投資に回す分が増加するため,義務者の収入は一定以上増えても,生活費に使う分はそれほど増えない,という考え方にも合理性があります。
最終的には裁判官の判断となりますが,次のような傾向が指摘されています。
【婚姻費用について】
2000万円に比較的近い場合には, 算定表の上限ゾーンに近い金額で算定し,大きく上回る場合には,それまでの夫婦生活においての支出内容を踏まえて,個別事案毎の事情を考慮して判断する。
【養育費について】
子供にあまりにも金銭的な贅沢をさせることは,自立のために必要とはいえないのみならず,かえって有害ということも考えられます。
そこで,子供が1人の場合には算定表の上限金額で認定し,2人以上の場合には,1人の場合の金額も参考に,個別事情に応じて判断する。
なお,子供が4人以上であるなど,金額超過以外で算定表に表示のないケースについては,
大人の生活費を100,子の生活費は0~14歳を55,15歳以上を90とし,基礎収入を分配する考え方で計算します。
基礎収入は総収入×基礎収入比率で計算し,所得の34~52%程度です。給与所得者で34%~42%,自営業者で47%~52%(収入が高いほど比率は低い)として計算します。