治療での労災活用,人身傷害保険の先行請求により,過失割合分も含めた損害の満額を回収した事例
【関節内果骨骨折】労災・人傷保険で過失分の減額なく満額取得の事例
- 被害者
- 50代女性,主婦(パート),大阪市在住
- 傷病等
- 関節内果骨骨折
- 後遺障害等級
- 14級
- 基本過失割合
- 10%
- 手続き種類
- 病院同行,人傷保険の先行請求,後遺障害の被害者請求,紛セン申立
- 交通事故の概要
- 自転車で通勤中(歩道を通行中),駐車場から車道に出ようとしたトラックが急発進して衝突,転倒した。
- 解決内容
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- 1 勤務先が労災利用に協力的であり,過失相殺上有利な労災で治療費を賄った。
- 2 被害者と病院同行を行った。
- 3 家族がソニー損保で弁護士特約・人傷保険特約を付けていたが,通勤災害でソニー損保の約款上,弁護士特約は使えず,人傷保険も後行請求を強く要求された。
しかし,ソニー損保の強い抵抗を押し切り,人傷保険の先行請求により,10%の過失割合部分を家族の保険で埋めた。 - 4 後遺障害の等級は被害者請求によった。医師は等級取得は難しいと説明したが,14級を取得できた。
- 5 相手方保険会社は休業損害や逸失利益を低く評価したため,交通事故紛争処理センターへの申立てを行った。
- 6 治療費込みで総計約1300万円(除く治療費約650万円)を取得した(過失減額なし)。
- コメント
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人身傷害保険の先行請求をすると,
過失相殺部分の回収確度が高まります 。
多くの人傷保険会社は加害者からの回収の後行請求をするよう,かなり強引に誘導します。しかし,後行請求の場合,訴訟をしない限り人傷保険金の過失部分への充当を人傷保険会社は容易に認めないのが一般的です。
保険会社の対応状況から,人傷保険により過失割合部分も回収するには,保険に詳しい弁護士に委任して先行請求することが必須と考えられます。
なお,過失割合がある場合,治療費は労災が使える場合は使った方が有利です。
本件では損害総額1300万円,過失割合10%でしたが,労災と人傷保険により,被害者は90%でなく100%の1300万円を回収できました。