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改正相続法⑤ 相続の効力,遺留分侵害額請求,特別寄与料

スケジュール4頁

6 相続の効力に関する改正

第1 権利の承継:共同相続における権利承継の対抗要件(899条の2)

相続による権利の承継は,法定相続分を超える部分は,登記,登録,その他の対抗要件を備えなけば,第三者に対抗できないことになりました(899の2Ⅰ)。

取引の安全をより重視した規定ですが,その分,相続により権利を取得した者は,早期に登記を行わなければ,不利益を受ける危険性が高くなりました。

(改正前)遺言執行者がいる場合,遺言内容に反する相続人の処分行為は絶対無効(最判昭62.4.23)/遺言執行者がいない場合,不動産の遺贈を受けた第三者とは対抗関係/特定財産承継遺言では登記なく権利取得を第三者に対抗できる(最判平5.7.19)

債権承継の対抗要件の場合,法定相続分を超えて権利を承継した相続人が,遺言の内容を明らかにして承継の通知をすれば,共同相続人の全員から債務者に通知をしたものとみなし,相続人全員からの通知は不要となりました(899の2Ⅱ)。

 

第2 義務の承継(902条の2)

債務の承継については,相続分の指定があっても,原則として,債権者は,法定相続分に応じて,権利行使できることを明文化しました(改正前も同様の規律)。債権者が指定相続分に応じた債務の承継を承認した場合が例外となることも規定されました。

 

第3 遺言執行者がある場合の相続人の行為等

遺言執行者がある場合,遺贈の履行は遺言執行者のみが行うことができ,相続人が行った遺贈,その他,遺言執行者の遺言執行を妨げる相続人の行為は無効ですが,従来は絶対無効とされていた(最判昭62.4.23ほか)のに対して,第三者保護のため,相続人の違反行為は善意の第三者に対抗できないことになりました(1013条2項第2分=ただし書)。

相続人の執行妨害行為が無効であることは,改正前と同じです(1013条2項第1文)。

1013条3項で,相続人の債権者による差押・相殺などの権利行使は妨げられません。

 

第4 施行時期

多くの相続法改正と同じく,2019年7月1日に施行されます。

 

7 遺留分制度の改正

第1 金銭債権化と名称変更:遺留分侵害額請求権

遺留分減殺請求権の行使により,物権的効果が生じる(共有状態になる)という従来の規律を根本から変更し,原則として,遺留分侵害額に相当する金銭債権が発生することになりました(1046条1項)。

名称も,遺留分減殺請求権から,遺留分侵害額請求権に変わりました。

事業承継や,共有関係に基づく紛争再発について考慮して,物権的効力まで認めず,金銭債権化としたものです。もっとも,形成権であることは変わりません。

第2 期間制限と支払い期限

1 期間制限

相続開始および遺留分侵害の贈与・遺贈を知った時から1年間,又は相続開始から10年

 

2 期限の付与

遺留分侵害額請求権の義務者(債務者)は,裁判所に対し、金銭債務の全部又は一部の支払につき,期限の許与を求めることができることが定められました。

 

第3 算定方法の明確化

1 生前贈与

改正法は,相続人に対する贈与は相続開始前10年前まで相続人以外1年前までが,遺留分算定の基礎となる財産に含まれる(相続人への贈与は婚姻・養子縁組・生計の資本としての贈与に限る)としました。従来は,相続人に対する贈与は何十年も前のものでも,減殺請求を認めることが相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り,含まれるとしていた(最高裁最高裁平成10年3月24日判決)のを改めました。

 

2 その他,算定方法の明確化

1)基本的な遺留分の範囲は変更なし(兄弟姉妹は遺留分なし,直系尊属のみが相続人の場合は3分の1,その他の場合は2分の1)(1042条1項)

2)遺留分侵害額(最高裁平成8年11月26日判決):遺留分額―相続で得た積極財産+相続債務(1046条2項)

3)未分割の遺産がある場合:遺留分権利者の積極財産の評価について,法定相続分説vs具体的相続分説の争い → 1046条2項は具体的相続分説を前提に算定することとした。

 

3 遺留分権利者の分まで債務を消滅させた場合

遺留分権利者の分まで相続債務を消滅させた受遺者・受贈者は,これにより取得した求償権の限度で,遺留分侵害債務を消滅させることができる(1047条3項)

 

第4 施行時期

多くの相続法改正と同じく,2019年7月1日に施行されます。

 

8 特別の寄与(1050条,特別寄与料)

第1 概要

被相続人の無償での療養看護等の労務提供により,財産維持増加に寄与した相続人でない親族は,特別の寄与に応じた額の金銭を相続人に請求できます

従来は,長男の妻などが介護等で貢献しても,直接,報いることができませんでした(長男の特別寄与に加算する程度でした)。

 

第2 期間制限

以下のいずれかを経過すれば,請求できません(除籍期間)。

・相続開始および相続人を知った時から6か月経過

・相続開始から1年経過

 

第3 施行時期

多くの相続法改正と同じく,2019年7月1日に施行されます。

 

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