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マンション使途(事務所,店舗)の判例:大阪高裁平成29年9月19日判決(管理組合vs結婚相談所)

【事案の概要】

使途が住居・事務所に限定され,店舗・飲食業等での使用が禁止されている商業地のマンション(「ジオグランデ梅田」阪急梅田駅から徒歩約2分)。店舗・飲食業は3階までの商業棟(ヌー茶屋町プラス)で許容)の使途に関して,管理組合と結婚相談所で争われた事件。管理組合は,結婚相談所の「店舗」利用の差止等を求めて平成27年5月に提訴。結婚相談所は,店舗として使用していないし,結婚相談所のみへの訴訟提起は,法律事務所・税理士事務所への対応と比較して「狙い撃ち」であり「権利濫用」と主張した。

【民事調停(訴訟前)】(平成25年11月25日大阪簡易裁判所で調停成立)

マンション分譲(平成23年7月)の年から管理組合と結婚相談所が対立。相談所が平成25年2月に調停を申し立てた。25年11月に成立した調停合意には,猶予期間後の店舗業務中止のほか,以下の合意が含まれた。・申立人と相手方(現理事会の見解)は,法律事務所,税理士事務所等の業種の問わず,来訪客のある窓口業務(来訪客の多寡と問わない)を行う者は,使用細則が許容する住宅兼事務所に該当しないと確認,・相手方は,申立人への改善措置が,他の違反者への改善措置と比較して相応となるよう配慮

【原審判決】(大阪地方裁判所平成28年9月29日判決)

原告(管理組合)の請求を全て棄却,結婚相談所(被告)が勝訴

(理由)結婚相談所は,規約に違反して,マンション区画を「店舗」として使用しているが,調停合意で要点とされた改善措置の公平適用を,管理組合はしておらず,差止訴訟は被告への「狙い撃ち」で信義則違反か権利濫用に当たる。(原告が控訴)

原判決の報道は以下のリンク先。

【衝撃事件の核心】 タワマンに婚活業者は入居規約違反!? 「狙い撃ちだ」と反論、司法が下した意外な判断(産経WEST記事)

 

【高裁判決】(大阪高等裁判所平成29年9月19日判決)

逆転判決。控訴人(管理組合)の主張の主要部分が認められ,結婚相談所(被控訴人)が敗訴。

(主文要旨)

1 被控訴人(結婚相談所)は,当該マンション区画を「店舗(サービス業を営むもの及び窓口業務のみのものを含む)」として使用してはならない。

2 被控訴人は控訴人に130万円(及び支払い済までの利息)を支払え

(理由中の判断の重要部分)

1 許容される「事務所」とは ・・ 法律事務所・税理士事務所等は,禁止される「店舗」ではなく,許容される「事務所」にあたる

(1) 弁護士法,税理士法等は,商業的利益を目的としない業務(俗にいう「士業」)の拠点を「事務所」と表現。他方,商法,会社法等は,商業的利益を目的とする業務の拠点を「営業所」「店舗」と表現。両者の使い分けは一般的な用語の使用方法として妥当

(2)事務所利用の許容は,平穏な住環境,立地条件に見合う収益性確保,の両立のため。

(3)規約にいう「事務所」とは,商業的利益を目的としない業務の拠点を意味する(士業事務所は含まれない)。

 

2 禁止される「店舗」(サービス業を営むもの及び窓口業務のみ営むものを含む・・・使用細則)

(1) 「店舗」とは

語源は「物販施設」だが,現代では,「役務の提供場所」も「店舗」とされる(割賦販売法,特定商取引法等)。使用細則がサービス業を営むものを含むとするのは注意規定。

(2)「窓口業務」とは

不特定多数の来訪者に応対して金銭,書類,情報等の受渡しをする業務。

通常の用語法では「店舗」に当たらない。→ 禁止される「店舗」概念の拡張概念

(3)調停合意についての判断・・・規約と整合せず採用できない

法律事務所,税理士事務所等の業種の問わず,来訪客のある窓口業務(来訪客の多寡と問わない)を行う者は,使用細則が許容する住宅兼事務所に該当しない,との調停合意は規約と整合せず,採用できない。

・・・禁止対象の「店舗」概念の拡張のために用いた「窓口業務」を,許容対象の「事務所」概念の縮小に用いるもので,規約と整合せず,採用できない。

 

3 結論(あてはめ)

・被告訴人の結婚相談業務のうち,お見合い,パーティ営業は「役務取引」,事前の面談や打合せは「窓口業務」で,共に禁止される。

税理士事務所等は「店舗」でなく「事務所」,他の会社も表示だけで「店舗」利用していると推認できない,→ 信義則違反でもない

 

【当事務所との関係】

1 事案の舞台となったマンションは,当事務所が業務を行っているマンションです。

2 高裁判決の結論は,常識的な内容ですが,管理組合の顧問弁護士は,法律事務所・税理士事務所が経営できなくなるような,管理規約と整合しない調停合意を行った上,一審は全面敗訴しており,当事務所も危機感を持っていました。

3 控訴審も,調停合意を基準とする議論が続き,管理組合の敗訴必至と思われました。

4 そこで,当事務所の代表が独立当事者参加申立てを行い,規約と整合しない調停合意でなく,本来の管理規約・住宅細則に基づき判断すべきと主張。証拠でも,結婚相談所のホームページの過去ログから,10名単位での婚活パーティを立証しました。

5 その結果,調停合意を前提とする判断(原審)から,規約を基準とする判断(高裁)へと流れが変わり,マンション側の勝訴(結婚相談所の敗訴)となりました。

なお,当事務所の代表の独立当事者参加は,門前払い(却下)となりましたが,調停合意は規約と整合しないと判示された上,請求の趣旨で求めた内容(下記①②)は,訴訟費用を除き,実質的に,全て認められました

①管理組合は,法律事務所に対して,調停合意の概念(「来訪客のある窓口業務(来訪客数の多寡を問わない)」)に基づき,事務所利用状況の確認を求めてはならない。

・・・【高裁】2(3) → 調停合意は規約と整合しない
②結婚相談所は,パーティ,お見合い,その他,飲食物の代金を対価に含むサービスを,提供してはならない。

・・・【高裁】3 → パーティ,お見合いに加え,事前面談や打合せも不可

 

【コメント】

マンションの利用使途違反の差止訴訟の裁判例では,①規約違反,②共同の利益に反する行為(区分所有法6条1項),③権利濫用(信義則違反)でないこと(公平性)の3点を基準に争われるのが通常です。

ところが,本件訴訟では,控訴審の中盤まで,調停合意を基準に議論が続けられ,原審でも,調停合意を基準に,③権利濫用に当たる,と判断されました

そのような事情もあって,本件高裁判決では,①③は詳細に理由が示されましたが,②は簡単に判示しただけとなり(使用細則の目的から,細則違反は共同の利益に反する行為とした),他の裁判例が「①即②」とはしていない点から比べ,やや異色の判断となっています。

もっとも,具体的事実関係において,結婚相談所は,婚活パーティやお見合いサービスを行い,民事調停という裁判沙汰を仕掛けるなど,共同の利益に違反していることは,議論するまでもない事案だった,とも言えます。

調停合意が規約と整合せず,法律事務所・税理士事務所が利用できなくなる内容だったこと,一審は原告(管理組合)全面敗訴となったことから,管理組合の顧問弁護士には,強い不信感と憤りを持っていましたが,高裁では,法律事務所・税理士事務所の利用が認められ,また,そこに至る過程で,マンション内の士業事務所の連絡・結束の強化も導かれました。

この内容で確定することを,願っています。

(29.9.20投稿,弁護士 重次直樹)

 

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