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当事務所の解決事例

【TFCC損傷】異議申立により14級→12級となった事例

被害者 40歳代男性(大阪府在住,食料品等の運搬業務に従事)
傷病 右手関節TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷),右ひじ関節捻挫,右前腕部打撲傷
後遺障害等級 14級→12級(当事務所の異議申立により変更)
基本過失割合 15%(補正後0%・・・商店街補正▲5%,著しい過失補正▲10%=停車中,前方横断歩行者に気付かず,急発進)
手続種類 自賠責保険の被害者請求,異議申立(今後,示談交渉)

本件は,駅前ロータリーのタクシー乗り場で順番待ち停車中のタクシーが,前方の歩行者(駐車場に向けて代車で荷物を運搬中)に気付かず,前のタクシーの発進の気配を感じて前方を見ずに急発車して,歩行者に追突した交通人身事故です。

いわゆる「TFCC損傷」=「三角線維軟骨複合体損傷」の事例です。当初の等級認定は14級(別表第二第14級9号)でしたが,当事務所の異議申立により,12級(別表第二第12級13号)となりました

少し長くなりますが,①異議申立後の等級(12級)認定の理由,②異議申立書の「申立ての理由」,③当初14級の認定理由,について,ご紹介します。12級と14級では,後遺障害慰謝料の基準額(大阪基準)だけで,110万円→280万円となるなど,賠償額に大きな差異が出ます。

なお,10級を求めて再度の異議申立を行うか,については,現在,検討中です。

①異議申立後の等級認定の理由

1.自賠責保険の後遺障害について
自賠責保険(共済)における後遺障害の等級認定実務は,自賠法第16条の三に基づき,「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」により,原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行うと定められており,この認定基準上,「負傷又は疾病(以下「傷病」という。)がなおったときに残存する当該傷病と相当因果関係を有し,かつ,将来においても回復が困難と見込まれる精神的又は身体的なき損状態であって,その存在が医学的に認められ,労働能力のそう失を伴うもの」を後遺障害の対象とする旨が規定されています。

※ 弁護士コメント 交通事故の自賠責保険による後遺障害の等級認定においては,労災保険における等級認定基準に準じた認定がなされます。ただし,高次脳機能障害のように,交通事故では労災保険と異なる基準を用いる傷病もあり,注意が必要です。(コメント終わり)

2.前回までの認定内容
右手関節の痛みの症状については,別表第二第14級9号に該当するものと判断しています。
なお,右手関節の機能障害および右前腕の回内・回外の可動域制限については,自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断しています。

3.異議申立の趣旨
前回認定を不服として,概ね以下の趣旨の申立が認められます。
・右尺骨付着部における靭帯損傷があることは,画像や医師の判断から明白である。
・手関節に高度の可動域制限が生じることは,TFCC損傷の結果として,ごく自然な帰結である。

4.判断
自賠責保険における後遺障害の等級認定実務上,神経系統の機能の障害について,「局部に頑固な神経症状を残すもの」である別表第二第12級13号の認定がされるためには,残存する症状が他覚的所見によって証明されることが必要となります。具体的には,症状固定時に残存する自覚症状と,経時的に施行された画像検査および神経学的検査における他覚的な検査所見との間に医学的な整合性が認められるものをいいます。

※弁護士コメント 法令上,12級13号の認定基準は,「局部に頑固な神経症状を残すもの」ですが,自賠責保険の実務上は,「残存する神経症状が他覚的所見によって証明されること」が基準になっています。(コメント終わり)

右手関節の痛みの症状については,後遺障害診断書(○○病院発行/平成○年○月○日付)上,右手関節TFCC損傷との傷病名が認められます。
この点,提出の画像上,MRIにおいて,右手TFCC損傷が窺われる輝度変化が認められ,他覚的に神経系統の障害が証明されるものと捉えられることから,「局部に頑固な神経症状を残すもの」として別表第二第12級13号に該当するものと判断します。
なお,右手関節の機能障害および右前腕の回内・回外の可動域制限については,提出の画像上,TFCC損傷は認められますが,本件事故によって前記後遺障害診断書に記載されているような高度の可動域制限を生じるものとは捉え難く,前回回答のとおり,自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断します。

②異議申立書の「申立ての理由」

第1 右手関節TFCC損傷
1 2名の医師の診断
申立人の「右手関節TFCC損傷」については,担当医(○○氏)の平成○年○月○日付「診断書」以降,毎月の診断書に記載がある。
すなわち,各診断書においては,「傷病名」欄に「右手関節TFCC損傷」と記載され,「症状の経過・治療の内容および今後の見通し」欄「MRIにて(○/○)上記TFCC損傷認める」と記載されている。
これは,他覚的所見によりTFCC損傷が認められることを担当医が認定していることに他ならない。
また,平成○年○月○日付「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」においても,「右手関節TFCC損傷」がMRIで認められると担当医に認定されている
なお,同医師は本件TFCC損傷はPalmer分類上,IB(外傷による尺骨付着部の剥離)と判断している旨を述べている(平成○年○月○日,医師面談により申立代理人弁護士が確認)。
更に,院長医師(○○氏)も平成○年○月○日付「意見書」において,傷病名を「右手関節三角線維軟骨複合損傷」と認定した上,右手背屈装具装着の要を認める」と述べている。

2 画像
(1) 上記の通り,担当医が「右手関節TFCC損傷」および「それがMRIで他覚的に認められる」と判断したため,申立人は高解析度のMRIや,造影MRI検査まで行わなかった経緯である。等級認定のため必須であれば,申立人は検査する用意がある。
もっとも,○○病院で撮影したMRIにおいても,以下のとおり,1つ1つの画像はやや不鮮明でも,総体として充分他覚的に尺骨付着部におけるTFCC損傷が確認できる。医師2名もそう判断している。
 (2)  ○○病院のMRI(平成○年○月○日)および担当医の判断は,Palmer分類IB(外傷による尺骨付着部の剥離)を示す 
 ア 甲1の1,甲1の2の画像
これは,既に提出済のMRI(平成○年○月○日)の一部である。尺骨付着部において明らかに高信号域が認められる。これは,甲2の1(甲2の2の「スポーツ診療のための画像診断」の139頁)でTFCC損傷の例として掲載されている典型例の画像と比較しても,解析度が劣るものの,位置や程度が共通する
イ 甲3の1,甲3の2,甲3の3の画像
これも,既に提出済のMRI(平成○年○月○日)の一部である。
甲3の1において,尺骨三角骨靭帯が三日月状に黒く映るべきところ,特に㋐の部分について,大きく白くなっており,断裂と見られる
甲3の3でも同様である。
ウ 甲4の画像
これも,既に提出済のMRI(平成○年○月○日)の一部である。
尺骨頭が大きく後方にずれており,尺骨付着部の剥離を示している。
(3) 以上のとおり,いずれの画像でも,尺骨付着部における断裂ないし剥離を示しており,画像上,Palmer分類でIB(外傷による尺骨付着部の剥離)に該当するTFCC損傷とみられる。担当医の判断も同じである。

3 画像以外の他覚的所見
可動域制限や握力低下も明記されている。
尺骨付着部の靭帯が剥離・断裂していれば,手関節に高度の可動域制限が生じることは,医学上,ごく自然なことである。

第2 手関節の可動域制限
前記の通り,申立人の尺骨付着部におけるTFCC損傷(Palmer分類IB)は,医師が認定している上,やや不鮮明なMRI(平成○年○月○日)においても,分類IBのTFCC損傷が充分に確認できる。
甲1の1,甲1の2の高信号域は,甲2の1のテキスト事例と同レベルであり,甲4の尺骨頭は大きく後方にそれて靭帯により固定されていないことを明確に示しており,甲3で尺骨三角骨靭帯が黒く映るべきところ,白い部分が大きく出ていることとも符合する。
手関節の可動域制限の根拠となる分類IBのTFCC損傷を認めるに充分な画像であり,複数の画像から総合判断出来るものであって,個々の画像の解析度の低さを理由に見落としてはならない。
いずれの画像も尺骨付着部に異常を示すことは,可動域制限が申立人の作為によるものではなく(共通して尺骨付着部に画像所見が出るように申立人が作為することなど不可能である),尺骨付着部の靭帯損傷によることを示している。

第3 申立人の職務替え
申立人は○○品(重量物)の運搬・運送(運転を含む)を職務としており,代車で荷物を運ぶために停車していたタクシーの前方を横断しようとしたところ,前方不注意で急発進したタクシーに衝突され,本件傷害を負った。
オフィスワークと異なり,重量物の運送や運転については,右手首にTFCC損傷を受けたハンディは大きいが,休めば職を失う危険があり,右手首を装具で固定しながら(装具の必要性に関する院長医師(○○氏)作成の平成○年○月○日付「意見書」ご参照),何とか仕事を続けてきた。
もっとも,申立人は,右手首への負担から,外部への搬送業務から外されて,より軽易な倉庫内のリフト作業に移されることになった。
申立人は従来の職務が遂行できなくなったのであり,職業生活において受けた制約からも,労働能力喪失が5%程度の軽微な後遺障害ではない。

第4 結論
以上の通り,申立人に尺骨付着部における靭帯損傷があることは,複数画像や医師の判断から明白であり,申立人に作為できるものではない。手関節に高度の可動域制限が生じることは,尺骨頭を固定できず激痛が走る分類IBのTFCC損傷の結果として,ごく自然な帰結である。
申立人が実際に労働能力を喪失した程度に見合った正当な等級認定を,複数画像が示す尺骨付着部におけるTFCC損傷や,担当医師の判断に従い,認定されたい。
なお,より解析度の高いMRI画像が不可欠であれば,申立人は施設のある大病院で撮影する用意がある。もっとも,複数画像や担当医の診断等を総合判断すれば,尺骨付着部の靭帯損傷は,既に他覚的に証明されていると思料する。

※弁護士コメント 画像という他覚的所見や医師の判断を中心に書いていますが,実際に仕事の変更を余儀なくされた点も書いています。(コメント終わり)

③当初の等級認定の理由

右手関節の痛みの症状については,後遺障害診断書において「右手関節TFCC損傷」と診断されていますが,提出の右手部画像上,同部に右手関節TFCC損傷は窺われるものの,明らかな断裂等は認められず,後遺障害診断書上も自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しいことから,他覚的に神経系統の障害が証明されるものと捉えることは困難です。
しかしながら,受傷態様,その他治療状況等を勘案すれば,将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられることから,「局部に神経症状を残すもの」として別表第二第14級9号に該当するものと判断します。
なお,右手関節の機能障害および右前腕の回内・回外の可動域制限については,後遺障害診断書にその可動域が記載されていますが,提出の画像等を検討すれば,高度な関節可動域制限をきたす客観的な医学的所見に乏しく,自賠責保険における後遺障害には該当しないものと判断します。

※弁護士コメント 当初の等級認定に問題があるか,異議申立により上位等級を取れるか,について,判断能力のある弁護士に依頼することが,交通人身事故における正当な補償・賠償の獲得に極めて重要となります。(コメント終わり)

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