【人傷保険活用】赤信号で進行した自転車(70代後半)で4130万円取得した交通死亡事故

被害者 70歳代後半(年金生活,大阪市在住)
傷病等 急性硬膜下血腫により死亡
 後遺障害等級
 基本過失割合 80%
 手続き種類 人傷保険の先行請求,被害者参加,訴訟上の和解

交通事故の概要

信号機ある交差点における貨物自動車と自転車の出会い頭の事故でした。自転車運転の高齢女性(70代後半)が死亡しました。

信号機の変わり際の事故でしたが,被害者参加で刑事記録を閲覧した結果,自転車は歩行者・自転車用の信号機のみならず,車両用の信号機も赤になった後に,交差点に進入したことが分かりました(直前に交差点に進入した四輪車につられたと思われる)。

他方,貨物自動車は追い越し車線の最前列で信号待ちをしており(わずかに停止線オーバー),青信号で発車する際,前方左右を良く見ておらず,自転車が自車の左側から進行し,自車の前を通り過ぎて,自車の右角を同自転車に衝突させるまで,人間が運転する自転車と分からず,衝突後にブレーキをかけ,車両を降りた後に,自転車運転者と分かったという状態でした。

解決への経緯

被害者の夫が契約していた保険(大手財閥系)に,弁護士保険・人身傷害保険が特約として付いていました。弁護士保険は被害者の強力な武器になりました。

他方,保険会社は人傷保険について,相手方保険会社からの損害賠償を得た後でしか使えない(先行請求できず,後行請求しか出来ない)と虚偽の説明を遺族にしており,当初,自賠責保険で2100万円程度を取得後,人傷保険金を100万円程度追加取得できるのみ(計2200万円程度)と思われました。

もっとも,当該人身傷害保険(名称は「人身傷害保険」ではなく,当該保険会社に固有の名称でした)についても先行請求できるのではないのか,と当事務所から保険会社に迫ったところ,保険会社は説明を左右させた後に改め,先行請求が出来ることを認めました

当時,最高裁判所が,人身傷害保険を行請求した事案について,「訴訟基準差額説」(人傷保険金は,訴訟基準での高い損害額を前提に,過失相殺される金額にまず充当される)と判示した直後でした(最高裁平成24年2月20日判決)。

そこで,当事務所が人傷保険金の請求についても代理人となり,被害者側の保険会社と交渉して,人傷保険を約2200万円取得しました。この約2200万円は,全額が過失相殺部分に充当されました。

その後,訴訟により,相手方保険会社からも損害賠償金1900万円を獲得,合計4130万円を超える補償を得ることが出来ました。

基本過失割合は,赤信号で進入した自転車が80%と,死亡した自転車運転者の過失割合が大きかったのですが,高齢者補正に加えて,四輪車も発車直後なのに自転車に気づいていない不注意があったことによる補正が認められ,70歳代後半の被害者について,総計4130万円を超える補償を得ることが出来ました。

弁護士のコメント(人身傷害保険の重要性

人身傷害保険金を先行請求した場合,過失相殺される部分から充当されるため(旧商法が適用される事案について平成24年2月と同年5月の最高裁判決が採用した「訴訟基準差額説」),過失割合が大きい被害者においても,補償額が高額になります

更に,改正保険法においては差額説が強行規定として採用され,改正保険法が適用される事案においては,理論上は後行請求でも過失相殺部分に充当される筈です。しかしながら,現実には後行請求すると,人傷保険金がすんなりと支払われない場合も多いため,人傷保険を先行請求することが,特に交通死亡事故においては重要です。

人傷保険の有効活用により,過失相殺される部分に人傷保険金を充当して,総計で高額の補償を得るのです。

他方,後遺障害について人傷保険会社に任せると,被害者請求した場合と異なり,低い等級しか取れないような形で申請される危険性があります。このような場合,入通院慰謝料などの傷害部分のみ人傷保険金を先行請求し,後遺障害部分については,被害者請求で上位等級を取った上で,差額説による処理をADR等で求める場合もあります。

人身傷害保険の活用の仕方により,補償総額が大きく変わる場合があり,交通事故や人傷保険に詳しい被害者専門の弁護士に依頼することが重要と考えます。